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「はい」
(浅尾先生、警備担当か。疑ってごめんなさい)
祐羽は自分の浅はかさを反省して来た方へと戻る事にした。
そして足元に生える草を見ながら数歩進んだところで、ふと思い出す。
(そういえば、先生は何で僕の名前を知ってたのか聞いてみよう)
足を止めた祐羽はそのことを訊こうと振り返ろうとした時だった。
後ろから突然布で口を塞がれ体を強く拘束されてしまう。
「ンンッ?!」
急な出来事になすすべなく祐羽は羽交い締めで軽く持ち上げられ運ばれる。
恐怖に堪え、まだ近くに居るだろう浅野を呼ぶが布のせいで全く届きそうにない。
一体どこへ連れて行かれるのか、広島での出来事を思い出して目がうるうるしてくる。
そうして一番最初に思い浮かぶのは九条だ。
(九条さん!!)
心の中で大好きな九条の優しい顔を思い浮かべながら叫ぶ。
こんなことなら直ぐに戻れば良かった。
人を待たせているのに自分の興味を優先したバチが当たったに違いない。
祐羽はとうとうポロポロ涙を溢しながらも、自分で何とかするしかない―そう体を大きく動かし抵抗すると、相手の顎に見事頭が当たった。
(やった!)と喜んだ祐羽だったが、次の瞬間相手を見て愕然とした。
(浅野先生―?!)
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