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信じられない気持ちから動きを止め見つめる祐羽に浅野がニヤッと笑うと手を伸ばして来た。 (に、逃げなきゃ…!!) けれどその願いも叶わず、祐羽はアッサリと再び捕まってしまった。 旧校舎の奥にある、校舎から一番遠い裏門は、いくら助けを求めてもやはり誰も来ない。 浅野が一体何の目的で自分を拘束したのか分からず、これからどうなるのか恐怖に涙が出そうになるが我慢だ。 ここは人気は無いとはいえ高校の敷地内で、裏門付近を過ぎれば一気に人気の多い場所に出る。 何とかそこで逃げるか、誰かと遭遇すれば十分に助かるはずだ。 小さな体をピコピコ動かして抵抗を試みる。 (どうしよう。でも、ここで諦めたらダメだ!) もう一度頑張ってムームー塞がれた口から声を上げるが裏門を出て近くに停めてあった車に大股で近づいて行く。 そしてドアを開けると、後部座席に祐羽は放り込まれてしまった。 「あうっ!!」 祐羽は誘拐される可能性から即座に起き上がり車の外へ飛び出そうとした。 「何の真似だ」 だが、聞き覚えのある声に目をパチクリさせた。 今自分が頭を預けているこの布越しにも分かる逞しい太もも、嗅ぎなれた香り、そして声。 ポカーンと口を開けたまま目をソロリと上に向けると、大好きな恋人の顔があった。

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