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浅尾が「実は俺がここで教師をしているのは眞山さん直々の命令で」と外崎に説明し始める。 「毎日報告の連絡をするんですけれど、昨日の夜は俺の相談にも乗ってくれまして。眞山さん忙しいのに、本当に優しいんですよ」 頭をポリポリ掻きながら「疲れているのに、親身になってくれて。俺、ついつい長電話になっちゃうんですよね。本当に眞山さに申し分なかったです」と笑顔を浮かべつつ反省の様子を見せた。 そんな浅尾に中瀬が眉間に皺を寄せながら 「おいっ!」と呼び掛ける。 「眞山さんって一見とっつきにくいイメージだけど、実は思いやりいっぱいの優しい人なんだ」 「知ってるよ」 浅尾がサラリと返すと中瀬は、ぐぬぬっと唇を歪めた。 「つまりーっ、だから、眞山さんは部下からの相談を断れないだけだから!それを甘えて相談とか長電話とか、疲れてるのに、夜になんてよくないんじゃないか?!」 「それは眞山さんが決めることでしょ?僕だって気は使ってるんだけど、眞山さんが『気にしなくていいから話せ』って言ってくれるんだもん。もういいです、なんて僕には言えないよ」 浅尾が憂いを帯びた表情を浮かべた所で校内放送が流れた。

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