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「楽しんで貰えて良かったです」 涙を拭って笑顔を見せた祐羽の耳に放送が聴こえてきた。 『まもなく文化祭を閉幕致します。生徒の皆さんは片付けをお願い致します。また、ご来場の…』 午後の太陽も傾き、暫くすれば夕陽に向かう時刻。 色々トラブルもあったけれど、あっという間の文化祭は楽しい想い出になったなと、胸に温かいものを感じる祐羽だった。 ・・・・・ あれから中瀬と外崎と別れ、文化祭の片づけを終えた祐羽が校舎を出たのは辺りが暗くなった頃だった。 いつもなら門を出て直ぐ辺りに中瀬が車で待っていてくれるのだが、今日は見当たらず。 念のためスマホを確認すれば、いつもより先で待っているとあって友人と別れて向かってみれば、そこには見慣れたいつもの車と、昼間見た別の車が停まっていた。 「おい」 半分ほど開けられた窓から声を掛けてくれたのは、九条であった。 「わーっ!どうしたんですか?!」 嬉しさ爆発で駆け寄れば、眞山がドアを開けてくれる。 お礼を言って乗り込むと「仕事の帰りでここを通ったからな。ついでだ」と九条が特別な事ではないと言った。 「ありがとうございます。嬉しいです」 ついでとはいえ、九条が迎えに来てくれたことだけでも嬉しい祐羽は素直に礼を伝えた。

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