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くわぁと、まるで子犬がするようにあくびをすると、目をコシコシしながら「おやすみなさい」と目蓋を閉じようとした。 しかし、突然動いた九条が気になり視線を向けると、スマホをサイドテーブルに置いている所だった。 「九条さんも、もう寝ますか?」 「いや」 質問に否定で返した九条が突然上に覆い被さってきた。 「寝るには早いだろ」 確かにいつもの時間より寝るには少しだけ早いかもしれないが、お互いに疲れているのだから不思議ではない時間だ。 それに、いつもなら眠たい素振りを見せれば祐羽をそのまま夢の世界に入らせてくれている。 なのに今夜は違うらしい。 顔が近づき片肘をついた九条が空いた方の手で祐羽の前髪を掻き上げると、露になった額にキスを落とした。 それから唇に重なり、祐羽がビックリした隙にいつもの様に舌を割り込んできた。 「アッ、ン」 すかさず舌を絡ませ吸われると、腰から下へと甘い震えが走る。 「ハァッ、ッ、ンンッ」 おまけに久し振りに激しく口内を蹂躙されたせいで、覚えのある部分が熱くなるのを感じた。 恥ずかしさと苦しさ、そして何とも言えないあの独特の体がムズムズする感覚から思わず押し退けたくなったが、顔の直ぐ両横には九条の鍛えられた腕があって逃げる事も叶わない。

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