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小部屋
写真を撮られて直ぐに客を取らされるかと思い、ビクビクとソファで縮こまる。
「おい、お前。年齢は二十歳って事にしとけよ‼いいな‼」
「…」
祐羽は黙ったまま下を向く。
「名前は…んー…葵にでもしとくか~」
田部は勝手に店での祐羽の名前を決めて、パソコンに打ち込んでいる。
「…ぼ、僕。無理です」
「あ⁉何だと?」
我慢できずに祐羽が声を出すと、男たちが視線を向けてきた。
「エッチなこと、出来ません…」
「出来ませんじゃなくて、やるんだよ!」
「おっさん相手に股開いて、チンポ突っ込まれてアンアン喘いでりゃいいんだよ‼金たっぷり貰えるぜ~‼」
何がおかしいのか、二人とも下品に笑っている。
何処の誰かも知らない男に体を差し出すとは、先日の様な事を最後までするということだ。
あの時の記憶が甦ってきて、祐羽は恐ろしさに身を震わせた。
「まだ時間的に客が来んのはこれからだ。お前は一回目はここで客をとってやり方覚えろ。明日から携帯に連絡入れるから、直接客の所へ向かえ。いいな⁉」
一方的に説明をして、倉田が懐からタバコを取り出した。
火をつけて煙を吐き出すと、田部へと「連れてけ」と顎で指示した。
「お前、とりあえずこっちな~♪」
「やだっ、離せっ‼」
祐羽の抵抗など微塵の力も感じない田部は、部屋を出ると、直ぐ側の『立ち入り禁止』のドアを開けた。
「入るぞ~‼」
「はぁい」
開けた入り口には薄い布が垂れ下がっている。
その向こうにはソファが両側へと並んでおり、そこにはレースやリボンの付いた可愛い透けたキャミソールを身につけた女性が、数名座っていた。
「新入りだ。何にも知らないから教えてやれ!」
「はぁ~い、って。ええっ⁉」
「男の子⁉」
「嘘でしょ⁉可愛い~‼」
女の子が騒ぎ出すと、田部が呆れた声を出す。
「お前ら喰うなよ?」
それから田部は、祐羽の耳へと囁く。
「逃げたら…分かってるんだろうな?」
「‼」
低い声で脅しをかける。
祐羽の反応を見て、満足そうにククッと笑って部屋を出ていった。
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