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the last act. Plastic Kiss side A 〜the 4th day 11※

ゆらゆらと揺れる快楽の波に身を任せながら目を閉じた。沙生の全てが、僕を浚っていく。 『ここ……』 沙生の手を取って勃ち上がったそこへと導く。ここが最速で快感を得られる部分だから。 掌の中にやわやわと握り込まれて、触れる体温の心地よさで痺れたように身体が震えた。 『あぁ、んっ、は……あ』 探りを入れるように緩やかな速度で上下に扱かれる度、身体が揺れてしまう。 もっと、もっと。より早く頂上に辿り着くために、僕は貪欲に腰を振ってしまっていた。 僕の半身を握り込む沙生の親指が、不意に先端を撫でる。ぬるりと滑る感触に、思わず悲鳴がこぼれた。 『ひッあ、あぁ……っ』 『もうこんなに濡れてる』 満足げな沙生の囁きに、また快感が増幅する。先走りを広げるようにくちくちと扱かれて、自分が急速に高みへと向かっていくのがわかった。 閉じた瞼に遮られた視界の中で、僕は意識をそこへと集中させる。恥ずかしいという感情は、理性と共に灼き切れていた。 『あ、沙生、沙生……ッ』 何度も名前を呼んで腕を伸ばせば、指先に濡れた舌先の触れる感触がした。ドクリと鼓動が鳴り響いた瞬間、僕は精を迸らせてしまっていた。 『──あ、は……ぁッ』 ぐったりと脱力した身体をベッドに預けて、閉じていた目を開ければ、僕を見下ろす沙生の顔が見えた。宥めるように髪を何度も撫でられ、それに応えてゆっくりと頷く。 ここが大学の研究室だということを忘れてしまいそうだ。沙生がいれば、それだけでどこでも至福の場所になる。 快楽の波は急速に引いて、浅く速かった呼吸が少しずつ落ち着いてきた。 身体は汗ばんでいるけれど、中に渦巻く熱は全く治まりそうにない。 僕の呼吸が整ってきたところで、沙生の身体が覆い被さってきた。舌先から蕩けそうな、甘く官能的な口づけを交わしながら、僕は沙生の肌を掻くように幾度も腕に触れた。 『沙生、もっとほしい』 唇を離してそう囁けば、愛しい人は小さく笑う。こうして身体を重ねる行為を、そしてその素晴らしさを僕は沙生に教えてもらった。だから、沙生が満足できるように抱かれたい。 『かわいいね』 そう言われることに僕がどれほどの悦びを感じているか、この人はきっと想像もつかないだろう。 かぶりを振りながらも、僕は脚を広げて精一杯沙生を誘う。 『沙生……』 身体に籠る熱を持て余しながら名前を呼べば、そっと微笑んでくれる。均整の取れた身体はとても美しくて、つい見惚れてしまう。 鳶色の瞳が僕を真っ直ぐに見下ろしていた。きれいな人だと本当に思う。身体も、心もきれいでキラキラしている。聡明で美しい、神様に愛された人。沙生を見ていると、そんな言葉が心に浮かぶ。 僕が独り占めできていることは、きっと奇跡なのだろう。 先程僕の放ったものを指先に塗り込んで、沙生が後孔に触れる。その繊細な動きにビクリと身体が震えた。確かめるように何度も入口をなぞられて、上擦った声がこぼれる。 『あっ、ん……』 硬く目を閉じて息を吐く。どれだけ身体を重ねても、指を挿れられるこの瞬間は緊張が解けない。強張る下肢を弛めようと、ゆっくりとした呼吸を繰り返す。 ぬるりと滑るように沙生の指が一本入ってきた。まるでこうして身体を重ねることが初めてであるかのように、丁寧に。じりじりと焦らされながらその指は奥へと進んでくる。 『──あ、あ……っ』 指先の触れるそこが、物理的な限界だった。奥で指の関節が曲げられるのを感じて、身体が跳ね上がる。僕の感じるところに的確な刺激を与えて、沙生は中を優しく蹂躙していく。 意識が少しずつ蕩けていくのがわかる。理性も、知性も。全てを手離して、僕はただの不埒な生き物になる。 快楽の波が大きくなるにつれて、自分を制御できなくなっていく。気持ちいい、もう限界だと感じているのに、身体は更なる快楽を渇望していた。 追い込まれて爆ぜる直前、僕は叫ぶようにねだっていた。 『ああッ、や……っ、沙生ので、イきた……ッ』 その瞬間、身体の中を蠢いていた指の動きが止まった。ずるりと抜けていく感触に高い声がこぼれる。 うっすらと目を開ければ、微笑む沙生の顔が霞んで見えた。 ねえ、沙生。 僕は沙生の思うとおりに抱かれることができているだろうか。

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