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act.4 Lost-time Kiss 〜 the 2nd day 6 ※

今にも融けそうに熱を持った結合部をそっと指でなぞれば、アスカが小さく声を漏らした。 「あ……ぁ……っ」 「アスカ……ここ、繋がってる」 二人の繋ぎ目が愛おしくて、何度も撫でる。濡れた指が互いの肌を行き来するのを、アスカは頭を起こしてじっと見つめていた。 「ミツキ……」 伸ばされた両腕を掴んで引き起こす。向かい合って座りながら、俺はアスカをしっかりと抱きしめた。 「俺はどこにも行かないから」 アスカも、もうどこにも行かないで。 俺の背中に回す腕に力を込めて、アスカは震える声を振り絞る。 「どうしよう……すごく、幸せなんだ」 そう言って、美しい涙を流す。俺はその顔を両手で挟み込み、親指で涙を拭った。 「俺がアスカを救うから」 そのために、ずっとお前を捜し続けたんだ。 そっと口づけてからゆっくりと腰を動かせば、桜色の唇から淫らな喘ぎ声がこぼれていく。 「あ、あぁ……っ、ん……ふ…ぁ……ッ」 アスカの中は、緩急をつけてうねりながら俺を締めつける。今までしてきたセックスが何だったのかと思うぐらいの強烈な快楽と充足感が心を満たしていく。 「アスカ、好きだ」 しがみついてくるアスカを抱きしめて、耳元で囁く。 「愛してるよ」 奥の部分を擦るように突くと、アスカの声がどんどん色味を帯びて甘くなっていく。 全身でアスカを愛したい。今まで会えなかった分も全部上乗せして。心も身体も蕩けそうに満ち足りた時間を、俺が与えてやりたかった。 「あぁ、ン……ッ、ミツキ……ッ」 熱に掠れた声で呼ばれて唇を奪うように口づける。アスカはとろりと潤んだ瞳で俺を見つめてきた。 淫靡なのに清らかで、艶やかな眼差しを向けてくるのに幼子のように純粋な涙を流す。そんなアスカの全てが愛おしかった。 「も…、イきそう……、あ、ぁ……ッ」 俺を刺激するアスカの中が、全てを搾り取るように締めつけ始めた。全身が沸騰しそうに熱くて堪らない。 「アスカ……ッ」 快楽に翻弄されるままに最奥を何度も突いて、熱に浮かされながら名前を呼べば、背中に回る手が一層強く俺を掻き抱いた。 「ミツキ、あぁ……ッ、あ、ああァ……ッ」 身体を大きく震わせて果てるアスカの中に、俺は全てを注ぎ込む。 抱き合ったまま高みからふわりと落ちていく身体を持て余しながら、二人で乱れた呼吸を繰り返す。 顔を覗き込めば、その瞳はまだぼんやりとしていた。 「アスカ、大丈夫か……」 力なく頷いて、アスカは戸惑うように口を開く。 「なんか、違ったんだ……」 「何が?」 何でもない、とかぶりを振る。そのまま目を閉じて顔を近づけてくるから、そっと唇を重ね合った。 「身体、ベタベタだ」 恥ずかしそうにそう笑うアスカを優しく抱きしめて、まだ火照る頬にキスをする。 「一緒にシャワー浴びようか」 もう一度風呂に入った後、二人で裸のままベッドに滑り込んだ。肌に触れるシーツが冷たくて気持ちいい。 うつ伏せに寝転びながらアスカと手を繋ぐ。そうして布団を頭からすっぽり被ると子どもの頃に戻ったみたいだった。 「アスカが嫌だったら、やめるんだけどさ」 そう切り出せば、アスカは頬杖を突きながらキラキラした瞳で訊き返してくる。 「何?」 「明日から、旅行しようか」 俺の言葉に、今度はきょとんとした顔になった。 「アスカとたくさん想い出を作りたいんだ。実はもう予約してる。一泊で、近場の温泉旅館なんだけど」 「本当に?」 繋いだ手に力を込めて、アスカは俺をじっと見つめてくる。 「……嬉しい」 花の開くような屈託のない笑顔だった。頭を摺り寄せるようにくっついてくるアスカの唇をそっと啄ばむ。 「ねえ。温泉旅行とか、最初からエッチなこと考えてたんでしょ」 「……考えてないよ」 つまらない嘘にパチパチと瞬きしてから、アスカは目を細めて俺に抱きつく。甘い匂いが鼻腔を淫らに刺激する。 アスカからずっと漂っていた悲痛な淋しさは、いつの間にか消えていた。 きれいな形の唇に口づけて、間近で視線を交じらせる。 「愛してる。幸せにするよ」 だから辛いことは全部忘れて、俺のことだけを見てろよ。 アスカが嬉しそうに微笑むのを確認して、俺は滑らかな首筋に舌を這わせていく。 幸福な夜は、まだ明けない。

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