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act.4 Lost-time Kiss 〜 the 4th day 2 ※
あちこち寄り道をしながら家に辿り着いたときには、すっかり日が暮れていた。
「ミツキ、お風呂に入ろう」
甘えたようにそう言うアスカに軽くキスをして、浴槽に湯を張っていく。素直に俺に寄り掛かってくれていることが本当に嬉しかった。
なのに俺は荷物を片付けながら、心の中に棘が刺さっているような歯痒い感覚を覚えていた。
それは、もしかするとアスカがこの掌からすり抜けてしまうかもしれないという、拭いきれない不安だった。
準備が整うと、俺はアスカと服を脱がし合って風呂に入り、戯れながらシャワーの栓を捻った。
温かな湯を浴びながら濡れた身体を押しつけ合ってキスを交わす。アスカのものをそっと握りしめると、手の中で熱を帯びながらみるみる勃ち上がっていった。
「アスカ、エッチだな」
耳元で囁けば、アスカは熱っぽい眼差しを向けて掠れた声を出す。
「早く、したい……」
俺の方こそ、早くアスカが欲しくて堪らなかった。
風呂から上がってベッドに縺れ込んだ途端、俺はアスカに組み敷かれてしまう。髪から滴る冷たい雫が頬を濡らす。
「ちゃんと拭かないと、風邪ひくぞ」
「だって、待てない」
そう言うや否や唇を塞がれる。挿し込まれる舌を捕まえて軽く吸えば、ゆらりと甘美な味がした。
「ミツキ、いっぱい感じて」
アスカの唇が俺の身体を辿って、触れられた部分が熱を持ち疼き出す。
そそり立つものを握り込まれて、先端をそっと舌が這う。弄ぶようにゆっくりと舐められれば、ゾクゾクと快感が全身に拡がっていった。
「アスカ。反対、向いて」
顔を上げたアスカは戸惑いながら俺を見る。弱いところを全て曝け出してほしかった。
「ほら、早く」
おずおずとこちらに下肢を向けて、アスカは再び俺のものを咥えていく。俺は細い腰を両手で抱え込んで、朱に染まりながら勃っている昂ぶりを口に含んだ。
「……ん、ん……ッ」
喉奥まで呑み込めば、艶めいた声が鼻から抜けていく。咥え込んで抱えた腰を上下に揺らしていくと、口の中で先端が蜜をこぼし出した。
「ん……ふ、あっ、ダメ……」
すぐに根を上げて俺の半身から口を離し、アスカは切羽詰まった声をあげる。快楽に揺れる腰を逃げないようにしっかりと押さえ込めば、かぶりを振る濡れた髪が脚の付け根を擽った。
「あぁ、ミツキ……ッ、ムリ、できな……っ」
「いいよ、じっとして」
形勢を逆転できたことに悦びを感じながら、俺はアスカを口で丹念に愛撫する。震える半身を咥えたまま、後孔にゆっくりと指を挿入していった。
「ああ、あ…ッ、ア……ッ」
引けていく腰を押さえつけたまま奥の敏感な部分を指で刺激すれば、中が蕩けるような柔らかさで吸いついてくる。そこを根気強く擦り続けると、やがてガクガクと下肢が強張りだした。
「あ……あ、ん、ああァ……ッ!」
全身を大きく震わせながら、アスカが高い声をあげて果てた。口の中に放たれた蜜を飲み下して身体を起こせば、アスカは力なく身体をベッドに預けながら俺をじっと見つめていた。その甘く官能的な眼差しから目が離せない。
差し伸ばされた手を取って引き起こすと、そっと顔を近づけてくる。宥めるようなキスをすれば、アスカは熱に浮かされた瞳で囁いた。
「ねえ、ミツキ……もっと、欲しいよ……」
鼻腔を擽る甘い香りが、俺を世界の深淵へと誘う。花の匂いが濃厚になってきたのは、アスカの身体が熟れているからだ。
「アスカ、好きだ」
早くひとつになりたい。
熱に潤む眼差しでアスカはそう訴えてくる。俺は華奢な身体をそっと押し倒してシーツに縫いとめる。後孔にそっと指を挿し込むと、そこはしっとりと水分を含んでいた。
「あ……、もう、挿れて……」
喘ぎ混じりに懇願するアスカは、美しく扇情的だった。俺は昂ぶりの先端をあてがい、少しずつその中へと挿れていく。
波のように湧き起こる強い快感が、繋がったところから身体の隅々まで沁み渡る。最奥まで挿れたところで、ゆっくりと息を吐いた。
濡れた髪を掻き上げて瞳を覗き込めば、アスカは恍惚とした顔で俺を見つめていた。
「ミツキ……」
アスカの微笑みは幸福そうで、その表情にふと視界が淡く滲む。なぜか俺は涙が出そうになっていた。
「アスカ、愛してる」
幸せにしてやりたい。失った分を取り戻すだけじゃなくて、アスカが前よりももっと笑顔でいられるように。そのためなら俺は何だってするから。
「愛してるよ」
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