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act.0 Sanctuary Kiss side A 〜 the 4th day 4 ※
手を繋ぎながら、ゆっくりとした足取りでベッドまで歩いていく。
身体を横たえれば、肌に触れるシーツがひんやりと冷たく感じられた。
仰向けになったユウの上に跨がって、ギリシャ彫刻のような美しい身体に見惚れながら、指をそっと滑らせていく。ユウの身体は、僕と同じぐらい熱い。
静寂の中で、二人の鼓動と密やかな吐息だけが聞こえる。
身体を前に倒して、食むように口づける。唇を割って舌を挿し込めば、滑らかに絡み取られて吸われた。蕩けるような感覚に、強張っていた身体が解れていく。
ああ、気持ちいい。
うっとりとしながら唇を離せば、唾液の糸がゆらりと引いてユウの唇を濡らした。それを舐め取って、もう一度口づける。
そうして柔らかな弾力の唇を何度も味わっていると、次第に下肢が熱を孕んでいくのを感じる。
美しいカーブを描く頬にキスをして、耳朶を丁寧に舐めてから首筋に唇を押しあてる。少しずつ舌を這わせながら、美しく締まった身体を降りていった。
左肩をそっと舐めると、ユウは少し身じろいだ。肩先に舌を滑らせながら視線を上げれば、鳶色の瞳が淡い光を反射して美しく煌めいていた。その双眸が愛おしい。
ユウは僕が何をしようとしているか、正確に理解していた。だから、ゆっくりと頷きながら僕の頭を撫でてくれる。その手つきが本当に優しくて、それだけで涙が出そうになった。
「……サキとした、最後のセックスなんだ」
サキとの大切な想い出を、僕はユウと繰り返す。身体が憶え込んだ記憶を、塗り替えるために。
弛緩したユウの左腕を、唇で辿りながら降りていく。愛おしい左手にキスをして、その指を一本ずつ口に含んだ。サキよりも少し節くれた指を、丁寧に舌で絡め取る。一本ずつ咥え込んで上下に舐めていけば、頭上から吐息が聞こえてくる。
五本の指を残らず舌で愛撫して、また上腕まで辿っていく。胸から下へと少しずつ唇で降りていくと、やがて身体の中心に辿り着いた。そこは既に硬く張り詰めている。
そっと握りしめると、それ自身が生き物であるかのような熱い脈動を感じた。口を開けて、先端からゆっくりと含んでいく。
形をなぞるように舌を這わせて扱きながら口の中で転がすと、熱い吐息がまた空気を震わせた。
サキとは少しだけ違う形。それでも、とてもよく似ている気がした。浅く咥え込んでから先の方の括れに舌を押しあてて、ゆるりと輪郭を辿っていく。
ここはサキが一番感じるところだ。
緩やかな愛撫を繰り返していると、ユウの右手が僕の頭を何度も撫でる。昂ぶりに手を添えて喉奥ギリギリまで沈めていけば、膨張したものが意志を持つように口の中で小さく動いた。愛おしいその半身を、口と手を使って丁寧に扱いていく。
寝室に満ちる濡れた音を聴覚が拾えば、自分がされているかのように錯誤して身体が熱を帯びだす。
神様が象ったきれいな身体を、目で辿っていく。目線を滑らせたその先で、鳶色の瞳が僕をじっと見つめていた。
その瞳に宿るのは、生命の煌めきを湛えた美しい光。凪いだ海のように穏やかな、あの眼差しだ。
次の瞬間、唐突に静寂が訪れる。
耳を刺すような無音の世界に堕とされて、僕は思わず硬く目を瞑った。
『飛鳥』
──サキ。
僕は動きを止めて、熱い塊を口から出してしまう。
『飛鳥』
澄み渡った空気に溶ける、美しい響きの声。
ゆっくりと目を開ける。色彩を失った虚ろなこの世界に、サキが降り立つ。
忘れるために、抱かれようとしているのに。抱かれれば、僕はサキに会える。
「サキ……」
愛おしいその名を呼べば、胸の中に郷愁に似た甘く哀しい感情が湧き起こる。
慈愛に満ちた柔らかな視線を感じながら、僕は手の中にあるものをそっと扱いていく。先端にうっすらと浮かぶ甘い蜜を舌で舐め取れば、光る糸が揺らめきながら垂れた。その一筋の光を辿るように、勃ち上がったものを口に含んで、奥まで手繰っていく。
先端まで舌を絡めながら吸い上げて、また奥まで沈める。何度も何度も繰り返していると、また頭に手が掛かる。愛おしむように柔らかく髪を撫でられて、恍惚としてしまう。
乱れていく呼吸に合わせて、口の中のものが強張って震えた。
「……ん、……っ」
放たれた熱をそのまま受け止める。ゆっくりと飲み下せば、不思議な昂揚感が身体の芯から湧き起こってくる。
次第に落ち着いていく呼吸の音を聞きながら、僕はその瞳を覗き込む。きれいな淡色が、情欲に揺れていた。
「僕がするから、見てて……」
サイドボードからチューブを取り出して、とろみのある液体を指に塗っていく。脚を開いて濡れた指を後孔にあてれば、そこが物欲しげにヒクリと動いた。中に人差し指をそっと沈めていく。
「……あ、ぁ……っ」
痛いぐらいの強い視線を感じながら、奥まで少しずつ挿れていけば、中がうねりながら指を咥え込んで吸いついた。
「……は……ぁッ」
一番感じるところを掠めて、身体が跳ね上がる。少しずつ抜き挿しを繰り返しながらそこを刺激し続ければ、さっきからずっと勃ち上がっていたものが堪え切れずに震えて先端から雫をこぼし始めた。
「ん……ふ、ぁ……っ」
一人では処理し切れない熱に焦れて、乞うてしまう。
「お願い……、触って……」
今にも達するほどに張り詰めた僕のものに手が掛かった。
『あ……、ンッ、あ……っ」
研ぎ澄まされた感覚を宥めるかのような優しい手つきだ。緩やかに扱かれれば、その穏やかさが却って快感を増幅させる。淫らな水音が辺りを満たしていく。
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