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「どうして? どうして、そう言いきれるの?」
「どうしてって……」
青い空のように澄んだ瞳にみつめられ言葉に詰まった。形のいい唇に目がいって離せなくなってしまう。
心臓の音がやけに耳につく。
キスしたい。この唇を奪って、自分の感情のままに貪って湊の味を堪能したい。湊の全てを知り尽くしたい。
その欲求は留まる事を知らずに膨らんでいく。
気が付くと大我は湊の頬に手を伸ばしていた。指先が触れると、ぴくりと肩が震える。
ゆっくりと顔を寄せ、互いの息がかかる距離まで近づくと、あろうことか湊の方から自分の背に腕を回してきて、そのまま唇が重なった。
「――!?」
自分の身に何が起きているのか理解が出来ないまま後頭部を押さえつけられ、一度離れた唇がまた重なる。
唇に、柔らかく濡れた舌が触れ、薄く唇を開くとそれは強引に割り込んできた。
歯列を割られ、舌が絡め取られると、身体の芯が震え、なんとも言えない熱いものが込み上げてくる。
「ん……ッ……」
蠢く舌から吸い取られていくように、身体からうっとりと力が抜けていく。
「は……ふ……」
何度も角度を変えて繰り返される濃厚な口づけに戸惑っているとわき腹をするりと撫でられた。
「ッ!?」
そのまま服の中に手が潜り込んできて、慌てて大我は湊の体を押し返した。
「な、な……ッ!?」
「ふは、なにその顔……。僕とこう言う事したかったんじゃないの?」
湊の唇が唾液で光り、唇を舐める仕草に妖艶さを感じてドキリとする。
「言ったよね? 僕はキミが思っているほど白い生き物じゃないって」
するりと頬を撫でられ甘さの滴る指先が顎のラインをなぞる。ぞくっと背筋が粟立って大我は息を呑んだ。
これは、夢か? 現実なのか? 思考回路が混乱して追いつかない。
「……ねぇ、シよっか?」
耳元に囁かれた甘美な誘いに、若い理性は一瞬で崩れ落ちた。
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