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探偵と刑事と飼い犬△
「飼い犬プレイって、いいよね」
という夫の一言からそれは始まった。
エドはおりこうさんのわんこみたいだね! とたまに夫のシド(シドニー・C・ハイド)に言われる。飼い慣らされているみたいで嫌ですと答えると、彼は妙にしょんぼりして、「可愛いのに」と言う。
そんな夫の悪ノリで飼い犬プレイというやつをすることになった。
裸に剥かれてベッドに転がされたうえ、首に赤い革の首輪を嵌められた。ちょっと引く。
「なんですかこれ、どこから調達してきたんですか?」
「ん? SMショップ」
あの人は満面の笑みで答えた。
「オーナーと仲良くなってしまった。今度、きみもいっしょに行こうね」
「……やです、おれべつに……そういうの興味ないし……。ていうか、あなたも服脱いでくださいよ。おれだけ裸って、恥ずかしいじゃないですか」
「だめだめ、ぼくは人間で飼い主だからね。犬が裸なのは当たり前だろう?」
だろう、って言われてもとても恥ずかしい。ベッドで前を隠すように丸くなっていたら、シドが言った。
「お腹見せて」
「な……、やですよ」
「犬はたしか、ご機嫌だとお腹を見せるんだよ」
「ご機嫌じゃないです!」
「見せなさい」
命令するあの人の目は据わりかけている。ちょっと早くないか。そう思いながら、どきどきしつつ、恐る恐る仰向けになった。
シドの目が舐めるようにおれの肌の上を這う。ぞくっとして、両脚を閉じた。脚のあいだを手で隠すけど、シドに手首をつかまれて、露わにされる。
「隠さないで。犬なんだから。わんって言ってごらん」
あの人の目は本気だ。舐めるような目と今の状況に羞恥が掻き立てられる。ぶるぶる震えながら、「わ……わん」と言った。
「エドはいい子だね」
シドはくすっと笑って、突然おれの腹をくすぐってきた。
「ひ、ひぁ、や、やめ……っ、っく、くぅ……っ!」
おれは悶えながらのたうちまわった。「犬はお腹を触られると喜ぶんじゃなかったっけ」とシドが言う。呑気な口調だけど、目は本気のエロの凄みを感じる。おれは手足をばたばたさせた。
「やめ、シド、やだやめ、やめてくださ……!」
ひーひー言ってのたうちまわるとくすぐりからは解放された。ぐったりとベッドに伸びると、あの人は満足そうだった。
「エドはお腹触られるのが大好きなんだよね。ぼくにはすぐお腹見せてくれるんだから」
って勝手に設定つけないでくれ。そう思っていたら、シドの手でうつ伏せに転がされた。尻を両手で抱えられ、手の熱や感触に思わず素直に反応してしまう。そして、嫌な予感。
「これ、入れてあげるからね」
と言って彼が取り出したのは、ぶっといバイブ。しかも……。
「な、なんですかこのふさふさしたやつ」
バイブの底にふさふさした茶色い毛の束がついている。シドはご機嫌だ。
「DIYしてみたんだ。アナルで咥えたら、尻尾になるよ」
ほんとは犬耳のカチューシャも作りたかったんだけどね、と言いながら、バイブにローションを塗りたくっている。
おれは恐怖と期待に責められて、息ができなかった。体を丸めてぷるぷる震えていると、シドに尻を抱えられた。腰が逃げそうになる。彼はおれの頭を撫でて、優しい口調で言った。
「エドはいい子だね。じゃあ、体を楽にして。入れるよ」
言葉と共に、太いバイブの頭がみっちりと入ってくる。おれはしっかりシーツを掴み、歯で噛んで、我慢した。
でもしょっぱなから、もうだめだと思う。ゆっくり入ってくるソレで腹の中を割り開かれて、抵抗できない快楽に犯される。おれはこういうのに弱い。強引に犯されるのとか、抵抗したくてもねじ伏せられるとか。
興奮してしまうんだ。変態でごめんなさい。
ケツの中に入ってきたものを一生懸命咥えこみ、きゅんきゅん締めた。シドに言われて、括約筋は鍛えてる。頭がズズッと奥に入ってきて、がつんと当たる。しかも、バイブに前立腺を刺激するための出っ張りがついてて、それがおれのいちばん弱いところに当たるんだ。
「んんっ、あ……!」
ずんっと奥を突かれると声が出てしまう。バイブはゆっくりねっとりおれの中を犯す。この時点でもうだめ、でもまだスイッチが入ってないから……この先が怖い!
ぐっぐっと奥を抉られ、がつんといい場所にぶち当てられ、喉からひんひん声が出る。ちんこが痛いくらい勃起して、でもだんだん萎えてくるのは、快楽が激しく深まってきたから。
おれはケツを揺らして泣いた。
「尻尾振って、可愛いな、エドは」
あの人の声もまた、切羽詰まりはじめていた。
「鳴いてごらん」
耳を裏から舐められて、ケツの奥と尻に電流が走る。体が勝手にビクビクする。
「っう……くぅうん……!」
勝手に声が漏れていた。おれは尻を掲げて振りながら、シーツを噛んでいた。手が知らないうちに自分のペニスに這う。
いじりはじめたおれを見て、あの人はかすかに笑った。
「エドは発情期なのか? ……なら、しかたない。交尾しようね」
おれの喉からくぅんという嬉しそうな声が漏れる。お漏らし、しちゃいそう。
両脚を閉じてもじもじしていたら、バイブのスイッチを入れられた。
気持ちよすぎてなにもかもぶっ飛ぶ。おれはメス犬のようにケツを振り、カウパーをだらしなくだらだら垂らして悶えた。ちんこからカウパーも精子も全部出ていっちゃいそう。そんな感覚に襲われ、もうなにも考えられない。
「あっ、ああ、ああ、あひ、ひんんっ」
口から自然に声が漏れる。悶えているおれの前に、シドが手鏡を差しだした。鏡に映った自分の顔を見て興奮でちんこが痛くなる。おれ、ひどい顔してる、虚ろな目で、ぐちゃぐちゃになって好色に笑ってる。
泣いていたら、シドがさらにバイブを奥につっこんできた。ひんひん鳴いてケツを振り、体を支えていた腕と膝ががくがくしはじめる。体勢を維持できなくて、ケツを高く掲げた状態でベッドに伸びてしまった。感覚的には、ずっとドライでイってる。脚のあいだがカウパーでびしょびしょで冷たい。
シドがバイブを引き抜くと、おれはケツを掲げた体勢から起きあがれなかった。急に抜かれて、正直言ってもの足りない気分と、ほっとした気分と、半々。あれ以上バイブで責められたら、おれは狂ってしまう。
でも、シドは余韻に浸る余裕を与えてくれなかった。いつの間にかおれの背後に回り、ケツをがっしりつかんでいる。ケツの穴にぬるぬるした硬いものがあたって、吐きそうなほど興奮した。
「いくよ、エド」
そうささやいて、あの人は亀頭をぐっと突っ込んだ。
「ま、待って、シド、ゴ、ゴム、つ、つけてな……っ!」
いくら生が気持ちいいからって、病気になるからだめだって言ったのに。あの人はそういうとこ、ちょっとだらしない。……なんて最中は思えなくて、おれはただただ焦っていた。それでも、シドは逞しくぶっといちんこをおれの中に突っ込んでくる。軽くピストンされて、ゴムのことなんかどうでもよくなった。
おれはシドのちんこが好きだ。ジゴロに懐柔された女か、と我ながら思うけど、シドにちんこを見せられるだけで朦朧としてしまう。それだけじゃなく、口で咥えたり、ケツに入れられたら、もう……。
おれは必死で極太のちんこを咥えて、きゅうきゅう締めつけた。腹に力を入れて、強く直腸でしゃぶる。シドに後ろからばこばこ掘られるたび、愛してます愛してます愛してますと叫びたくなる。おれにとって、シドとのセックスはそういうことだ。
おれは犬のように、バックで突かれるのが好きだ。後ろから荒々しく掘ってもらいたい。めちゃくちゃにしてほしい。シドによく言われる。「エドはマゾだね」って。その通りで、おれは痛くされたり、ひどく扱われるほうが興奮する。このときも、シドはおれをばこばこ突きながら背中を噛んできた。腰を激しく動かしながら、おれのケツを平手で叩く。
だめだ、シド、興奮しちゃう!
スパンキングが好きなおれはますます発情した。ケツの奥をずんずん突くシドのちんこの振動と摩擦と共に、目の奥がちかちかする。シドは奥を掘ってきた。ぐんっと亀頭を突きいれ、竿であますところなく筒を擦る。おれの中の空白がシドのぶっとい牡でみっちり埋まっていく。最高の幸せだ。
奥を掘られると痛いんだけど、同時に意識がぶっ飛びそうになるほど気持ちいい。シドの長いちんこだからこそできる極上の責め。おれは涎れをだらだら垂らし、下もカウパーをだらだら垂らしたまま、のけぞって悶えた。
我ながら気持ち悪いけど、最中はわからない。高くもない声であんあん鳴いて責められるままに受け入れる。もっと深く、荒々しく犯してほしい。おれの欲望が届いたかのように、シドはピストンをゆっくりにした。
おれはスロー・ピストンってやつに弱い。すぐさま陥落した。ゆっくりじっくり、射精しそうでできないぎりぎりのラインをねちっこく責められて、全身から力が抜ける。ゆっくりずぶずぶと入って奥に到達するペニス……好きすぎて頭がおかしくなる。
実際、おれは狂っていた。
「うあ、いいっ、いい、ちんぽ、いいっ」
卑猥な喘ぎを吐いて、「もっと」とねだっていた。
「っあ、ちんぽ、いいっ、イく、イぐぅっ」
「濁点で喘いじゃだめだって言っただろう?」
耳元でささやくシドの声には艶があり、息があがって、エロかった。
「しょうがない助平だな、きみは。でも、可愛いよ」
そのささやきに、おれはぶるるっと震える。今のでイったかと思った。シドは責め方を変えてきた。おれがいちばん好きな前立腺をごりごりと刺激する。あ、この人イかせない気だ、と朦朧とした頭で思った。そこをされている限り、おれが射精することはまずない。体がびくびくし、全身から力が抜け、でもケツの中だけは必死でペニスにしゃぶりついている。
あの人はおれの反応に図に乗って、そこばかりごりごり責める。
「うあ、だめ、だめぇ……!」
むせるほど泣いてきゅんきゅん締めあげ、女性にしか許されないような声で喘ぐ。すると、シドのちんこがずんっと奥に。
一瞬意識を失くし、気がついたら射精しながらベッドに倒れこんでいた。
○
「すごくよかった、飼い犬プレイ。またやろう」
すっきりしたあの人は輝く笑顔をおれに向ける。でも、こっちは賢者タイムでそれどころじゃない。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。もう絶対にペットプレイなんかしない。
「次は犬耳カチューシャつくるからね!」
シドはうれしそうに笑っておれの頭を撫でた。頬が上気している。
なんて可愛い人なんだ。そう思ったおれは飼い慣らされているのだろうか。
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