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探偵と刑事と狂気の沙汰・一△
※注意!!!※
今回は、いつもと違い、探偵×刑事前提の刑事×探偵です。
挿入シーンあります。
年下攻め、おっさん受です。
苦手な方はどうぞご注意ください。
いつもは夫に攻められてるけど、今夜はおれがやる。
その決意とともに、ベッドに寝転がるシドの脚のあいだに座った。夫のシド(シドニー)はぐでんぐでんに酔っている。それが心配。
ただ、酔っているから「今夜はきみがしてみる?」なんて言ってくれたのだろう。彼は根がヘテロで、おれと結婚する前は年下の女性と結婚していた。おれとつきあいだして、寝るときも、シドはいつもアッパー(攻め)。だから、してもいいって言ってくれるなんて初めてのことだ。
心臓が破れそうなくらいどきどきしながら、寝そべる夫の顔を見守る。目を閉じて、厚い胸が上下している。……寝ているんだろうか。期待とか興奮で、おれはもうギンギンになってしまっている。今さらおあずけはつらい。
しかし、シドは目を開けた。酔ってとろんとした目と赤くなった顔でおれを見上げて、「エド」とささやく。
へらっと笑って、「来て」と言った。
おれの胸にシドの緩んだ笑顔と誘うセリフが突き刺さる。蜜をがぶ飲みしたみたいに胸が苦しくなるほど、エロい。シドは色香を垂れ流していた。四十一歳の男ってこんなにエロいのかと感動する。おれは二十七だけど、色気の点ではまだまだガキだ。シドは胸を上下させ、低く甘い声で「エド……」とささやく。催促してくれているのだろうか。
これでやる気にならないわけがない。
シドは危なっかしい感じで起きあがると、おれの股間をじろじろ見た。
「ゴム、つけたのか? ……まだじゃないか。手伝ってあげるよ」
そう言って、コンドームの袋を破る。おれはなすがままになる。実は童貞なので、ゴムをつけるのは初めてだ。苦しいくらいどきどきしてしまう。そのうえ、昂ぶったおれのものに大好きな人のあったかい手が当たって……どうしよう、性に目覚めたティーンエイジャーみたいな気分だ。
「これでよし」
シドは満足そうに言って、おれのアレにゴムをかぶせ終えた。それからなにをするのかと思いきや、かがみこんでおれのペニスにキスをする。
「がんばってね」
脚のあいだに頭をうずめて、へらりと笑ってそう言った。
興奮と感動でぷるぷる震えてしまった。
「はい……」
じーんとしながらつぶやく。頑張らなきゃ。おれがシドを幸せにするんだ。あわよくば、これからもエッチのときは、たまにはおれもアッパーをしたい。
ふたたびベッドに横たわったシドの脚のあいだに座り、彼の腰の下にクッションを差しこんで、スタンバイする。
さっき、シドが半分寝落ちしてるときに猛烈に長い時間を掛けて、指で慣らすことはしておいた。シドは寝ぼけながら「いたい」とか「だいじょぶ」とか言っていたのだが、本当に慣らせていたのかは疑わしい。
おれはシドと寝たのが人生初のセックスで、最初からボトム(受け)だったからよくわかるんだけど、あれは実際にちんこを入れるまでは相当の時間がかかる。おれも、指で慣らすのがうまくいかなくて、デートを重ねて五回目でやっと本番までこぎつけたんだ。
まず、心理的な壁も大きくて、自分はバイだし好きな人に抱かれるなら……とは思っていたけれど、実際ちんこを入れられるとなると怖かったし、「おれは男なのに」と思うと抵抗感を覚えた。それに、肉体的な壁。もともとそういうための場所じゃないから、うまく入るまで大変だった。今は余裕で入るんだけど。
そのときのことを懐かしく思いだすと同時に、胸が切なくなる。シドはおれが不安で怖がったり、抵抗したら、決してむり強いはしなかった。シド自身も、男を抱くというプレッシャーとか抵抗感とか、初めての経験に踏みこむ怖さはあったと思う。それでも、自分自身も焦ることなく、おれにも焦らないでって声をかけてくれて、待ってくれた。
それもあって、体が繋がったときは、心もより深く繋がった気がしてうれしかったな。
そのときのことを思いだすと、泣きそうになる。
「エド? どうしたんだ?」
おれの下にいる今のシドがきょとんとしてこっちを見ていた。
「泣いてるの?」
酔ってはいてもすぐに察してくれて、心配そうな顔になるのはさすがスパダリ。おれは慌てて首を横に振る。
「なんでもないです。それより……い、痛かったり嫌だったらすぐ言ってくださいね。すぐにやめますから」
うん、ありがとうとシドは微笑む。その力の抜けた、無防備な笑顔を見ていると、この人を生涯守ろうという決意がこみあげる。よし、絶対に優しくするぞ。おれは改めて決意して、シドの上にのしかかった。
「じゃ、じゃあ、入れますね」
「よし来い」
男らしい声で言って、シドが体から力を抜く。おれははちきれそうになった自分のペニスを握り、それから慌ててローションをシドのあそこに垂らした。
「うーん、つめたい……」
むにゃむにゃ言いながらシドは目を閉じてる。もしかして、寝てるあいだにおれが励んで終わるパターンだろうか。それは寂しい。せっかくならシドにも気持ちよくなってもらいたい。
おれはあの人の首筋を、少し力を込めて噛んだ。
「ん、いた……」
ぱちっと目を開けるシドにほっとする。
「ごめんなさい。でも、起きててほしくて」
そう言って手を握ると、あの人はぎゅっと握り返してくれた。
「だいじょぶ、起きてるよ。がんばる。きみもがんばってね」
笑う夫が眩しくて、おれは半泣きになってしまう。がんばりますと答えて、ふたたび自分のちんこを握った。
不安がある。指を入れたときも、浅いとこしか掘らなかった。あくまで慣れてほしかったので、指を一本入れて、ちょっと動かしたりしたんだけど、大部分は中で留まった状態にしておいた。初めてシドにしてもらったとき、彼が指を動かしすぎて、おれがちょっとパニックになってしまったことを踏まえたうえで、そうしていた。シドは女性に指でするときをイメージしてそうしたらしいんだけど、そのときは咥えてるだけでせいいっぱいだったんだ。
だから、いきなり突っ込んで大丈夫だろうかと思う。痛かったらどうしよう。気持ち悪かったらどうしよう。最悪、もう二度とボトムはしない、どころかエドとするのは嫌だ、と思われたら……。
こういうとこがおれの欠点だ。悲観的で、悪いことばかり考えてしまう。おれは首を振って、嫌な考えを吹き飛ばす。やってみなくちゃわからない。痛かったらすぐやめよう。
シドのあそこに指を入れた感じは、正直言って「ちょっと気持ち悪い」。筒のゴムみたいな感触がだ。これは、おれもときどき自分で自分のケツに指を入れることがあるから知っている(なんでそんなことをしてるのかは訊かないでくれ)。
だから、入れたいけれどそこまで期待もしていない、はずだった。
そっと閉じた蕾を割り開き、身をもたげた亀頭を食い込ませる。シドの爪先がピンと反った。
「ん……」
しかしそれでも、シドはため息のようなものをついて目を閉じている。心なしか、安らかな顔だ。
おれのちんこ、存在感がないってことなのか。勝手に傷つき自信がなくなる。でも、まだこれからだ。先っぽしか入ってないし!
おれは腰に力を入れ、怒張を握って、さらにぐっと奥に自らを埋める。起きてほしいと思いながら。
「んん」
シドはうめいて、目をうっすらと開ける。はあ、と一度大きく息をついて、脚を開いた。
いつの間にか、シドの牡も逞しくそそり勃っている。おれはそこに手を絡みつかせた。上下にさすると、シドはぼんやりした目でおれを見上げた。
「はいってる……?」
おれがうなずくと、シドは「痛くないよ」と言った。うれしい。おれはシドのペニスをさすりながら、さらに腰を進める。
「く」
シドの口から声が漏れる。痛かったんだとすぐにわかった。おれは急いで引いて、シドのペニスを握る手に力を込める。そこは少し萎えかけていた。
同時に、妙な気分になる。シドの中はあたたかくて、うねうね動いて、おれのちんこに吸いついてくる。ぴたっと貼りついて、吸いあげるようなかんじだ。狭くてきつくて、それで彼は痛いんだと思うけど、ぎゅうっと圧迫されて包まれてるかんじが最高で……。
シドの苦しげで切なそうな顔を見ると、今まで感じたことのない感情がこみあげる。それが「ぶち犯したい」というやつだということに、おれは気がついた。
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