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探偵と刑事と走る男・一△

※注意!!!※ 今回は、いつもと違い、探偵×刑事前提の刑事×探偵です。 挿入シーンあります。 年下攻め、おっさん受です。 苦手な方はどうぞご注意ください。  午後九時。おれはむらむらしていた。  パートナーと寝室にいるなら、そうなってもおかしくない。でも、今はジョギングの最中。夫のシド(シドニー)につきあって、夜のロンドンを走っているところだった。  おれがむらむらしたのには理由がある。夫のケツがセクシーすぎたんだ。  なにも、裸で走ってるわけじゃない。それはわかっている。いや、でもむしろ裸よりもタチが悪いと思う。シドは上半身はゆったりしたトレーニングウェアを着ていて、でも逞しい胸筋のせいで胸元が盛りあがっててそれもすごくセクシーなんだけど……問題は下だ。黒のぴったりしたジョギングパンツを履いてたんだ。なんでそれを選んだんですかって訊きたいくらいのぴったりしたやつ。もはやスパッツだ。  でも、いっしょに走りはじめたときは気がつかなかった。トレーニングウェアでケツは半ば隠れてたし、外は暗かったから。家を出るときも気がつかなかった。仕事のことでイラついてて、半ば上の空だったからだ。  シドはそれもあってジョギングに誘ってくれたんだと思う。ナイツブリッジに車を置いてきたから、取りにいかないと言った。歩いてだいたい四十五分、自転車だと十四分くらいの距離だそうだ(アプリのマップを見て言ってた)。走っていくのにはちょうどいいだろう、ということで、おれもついていくことにした。 「走ったら気分も変わるかもしれないよ、エド」  そう言って優しく微笑むあの人に、おれはじーんとする。いつもおれのことを思ってくれる夫。恵まれてる。そのときは、たしかに思った。盛りあがった胸がセクシーだなって。それから下を見て、太い太腿もエロいと思った。ただ、それだけだった。  おれがスーツから着替えたのは適当なTシャツに、下はゆったりしたジャージ。それがよかったとあとで思った。で、シドの格好には気がつかなかった。横に並んで、しゃべりながら走る。車の流れもゆったりしていて、犬を散歩させている人もいて、いい夜だった。秋で気候もいい。おれたちはほどよいペースでのんびり走った。  シドは仕事のことは訊いてこなかった。今度の休み、なにをする? どこそこのチーズケーキがおいしかった、あそこのメーカーのビールを買ったら腐ってた、エラリー・クイーンの国名シリーズを読み返している。他愛ない話で笑って、汗をかいて、同じペースで走っていると、気分もよくなってくる。  おれは自分がした失敗とか、進まない取り調べとか、同僚の嫌味な態度も忘れていった。  で、高級デパートであるハロッズの前を通りかかった。  ハロッズは午後九時まで営業している。おれたちがその前を通りかかったのは、閉店の十五分くらい前だった。高級なドレス・シューズやスーツやバッグが飾られた大きなウィンドウも、明かりで眩しく輝いていた。  シドはウィンドウの前で立ち止まった。そして前かがみになった。スニーカーの紐が緩んだのを、結び直そうとしたんだ。おれは最初、ウィンドウのほうをぼーっと見ていて、それから視線を前に向けた。そのとき、見たんだ。夫のケツを。  むっちりとした尻がトレーニング・ウェアの下から覗いていた。小ぶりで、きゅっと引き締まっていて、筋肉質なケツだった。へっこんだ尻たぶがくっきりと見えた。そして、肉の厚みを感じる深い割れ目。それが、黒い伸縮性のある布に包まれてつやつや光ってるんだ。  うわ、と思うよりも先に下半身が反応していた。一瞬ででかくなっていた。シドはくるりと振り向いて、「お待たせ」と言った。その飾らない笑顔に、なぜかおれはまた一回りでかくなっていた。  シドはまた前を向いて、さっさと走りだした。おれも続かなきゃ。焦るが、勃起したまま走るっていうのは走りづらい。幸いだったのは、ジャージがゆったりしているってことだ。盛りあがった部分が目立たない。腰をへこへこさせながらついていったら、シドはくるりと振り向いた。 「疲れたのか? もうちょっとゆっくり走ろうか」  おれは笑顔を貼りつけて、「はい」と答えた。シドはその場で足踏みしながら、まじまじとおれの顔を見て一言。 「セクシーだ」 「は?」  言われた言葉の意味がわからなくてぽかんとすると、あの人は彫りの深い狼みたいな顔立ちを真剣に引き締めて言った。 「きみの顔、上気しててとってもセクシー」  やめてください変なこと言うのは、と言い返したけど、あわあわしていて舌をちょっと噛んでしまった。シドは笑った。 「エドは可愛いな」そう言って、今度は少しゆっくり走りだした。  可愛いのはあなたですよ。というか、エロいんだよ。おれは無言で後ろをついていきながら思った。  トレーニングウェアの下からケツが半分ちらちらと見える。うまそうだし、エロい。両手でつかんで思うままに揉みしだきたい。そしてあわよくばぶちこみたい。  先に言っておくと、おれはボトム(受け)だ。基本的に、というかこれまでのシドとのセックス・ライフでは九十九・九パーセント、最中は下になる。受けが嫌だとは言ってない。むしろ、おれには合ってる。自分でもわかってるけど、おれは素質がある。ケツだけでイけるし、メスイキしたり最奥を掘られてあんあん鳴いてるときは最高に幸せだ。シドの責めはいつも優しくてでも情熱的で、MのおれにあわせてSっ気も出してくれるし、上手だし好きなところもよくわかってくれてるし細かい気遣いもサービスもしてくれるし、言うことはない。  でも、おれはここ何回か、アッパー(攻め)をさせてもらっている。最初の一回はシドが酔ってて後ろを許してくれたんだけど、その一回にドライを知って、わりとよかったらしく、「してもいいよ」ってたまに言ってくれるんだ。  おれはいま二十八歳で、シドと二年ほど前に初めてセックスするまでは前も後ろもヴァージンだった。よって、攻めの経験がない。シドの中に入れさせてもらって初めて童貞を卒業したけど、でもやっぱりまだ自分は童貞だと思う。腰の振り方がわからない。上手なリードもわからないし、入れるたびシドは「痛い」って言うし、アッパーとしての自信はゼロだ。  でも、入れたい。このときジョギングしながらおれはそう思った。シドの逞しいケツにおれのものをぶちこんで、奥まで掘って愛したい。そう考えれば考えるほど下半身が元気になる。  おれは仕事の疲労とジョギングの疲れ、そして下半身事情も相まって、後半は無言だった。シドも話しかけてこない。黙って夜の道を走った。  帰りは車だ。屋外の市営駐車場に停めた車に乗りこむとシドがハンドルを握る。おれは助手席に乗り込んだ。汗のにおいがして、それが寝室の記憶を呼び覚ます。シドはこっちを向いてにこっと笑った。 「疲れたな。でも、いい運動になった」 「……そうですね。おれもデスクワーク続きだったから、気分転換になりました」 「ついでに、毎日やってる筋トレいっしょにする?」  そう言って、シドは大きな手をするりとおれの太腿に乗せた。  どきっとする。シドはパンとおれの太腿を一度軽く叩いた。 「きみは細身だけど、きれいに筋肉がついててうらやましいよ。いっしょに筋トレしたらもっときれいにつくよ」  あなたのほうがきれいです、とおれはぷるぷるしながら言った。  もう、もう、エロいんだよ。汗で貼りついた胸元とか背中とか、シートに座ったことで露わになった筋肉質の太腿とか。おれはさっと目を逸らし、「もう遅いから早く帰りましょう」とぶっきらぼうに言った。  シドはうなずいてエンジンをかける。カーオーディオから流れてくる、気怠い官能的な音楽がエロい気分に拍車をかける。  でも、だめだろおれ。夫のケツを見てむらむらして、恥を知れ。この人はなにもわかってないのに。  我慢しなきゃ。自分に強く言い聞かせ、夜のロンドンばかり見ていた。 ○  ストランドの家に帰りつくと、シドはおれに「先にシャワーしていいよ」と言ってくれた。  そのときには、おれも少しは落ち着きを取り戻し、ムスコのほうも大人しくなっていた。よかった。おれは礼を言って、着替えを取ってきてバスルームに入った。  バスルームの隅のカウチに着替えを乗せ、服を脱ぐ。汗でびしょびしょなので早くシャワーがしたい。下を脱ぎながら、ぼんやりとこのあとのことを考える。シドをベッドに誘おうかな。オッケーしてくれるかな。仕事をしてないといいんだけど(シドは自宅を事務所にしている私立探偵だ)。  ぼーっとしながらジャージを脱いだ。下着に手をかけたとき、扉にノックの音がした。 「エド? 石鹸切らしてたから持ってきたよ」  シドだ。手に石鹸を持っている。ジョギングしていたときと同じ格好で、バスルームに入ってきた。おれは慌てた。 「ありがとうございます」  手を伸ばして受けとろうとしたら、石鹸はころんと床に落ちた。シドがしゃがんで拾う。そのとき、あの人の頭がおれの股間のところに来た。シドは顔を上げて言った。 「あ」  そしてまじまじとおれの股間を見る。なんだ? 不安になるが、反応してないから大丈夫だと自分に言い聞かせる。  シドはおれを見上げて、ふふっと笑った。 「白くなってる」 「え?」 「カウパーって、パンツについて時間が経ったら白くなるよね。きみの下着にも跡がついてるよ。エッチなこと考えてたのか?」  笑って言う夫に、おれはかあっとなっていた。 「だ……だってあなたがエロいから!」 「え?」  シドはきょとんとしている。おれの脚のあいだにしゃがみこんだまま、「どこが?」と無頓着なセリフを吐くのでおれはますます昂ぶった。 「ケツがエロいんですよ! なんですかこのぱつんぱつんのパンツ。ラインがくっきり出てるじゃないですか」  思わず欲望に任せて口走る。そして我に返り、反省した。欲情のあまり逆切れしてしまった。だめだろ、おれ。  でも、意外にもシドは真剣な顔になった。 「そうかな?」そう言って立ちあがり、おれの前で後ろを向いた。ウェアの裾を持ち上げ、ちらちらと自分のケツを見ている。 「なんの変哲もないお尻だと思うけど」 「いやエロいですよ……むっちりしててぱつんぱつんで」 「こういうのが好みなのか?」 「おれはガタイのいい男が好きなんです」 「ふーん」  そこでシドはまたくるりとおれのほうを向いて、へらっと笑った。 「ぼくのせいで興奮しちゃった?」 「そうです……おれ後半はでかくなったまま走ってたんですからね」  やけになって暴露したらシドは大笑いして、突然「いいよ」と言った。  おれが「?」マークを浮かべていると、彼はまた突然おれの脚のあいだにしゃがみこんだ。 「責任とってあげよう」  大柄な体躯同様におおらかにそう言って、おれの下着をずらしだした。こっちはびっくりする。 「あの、責任って……えっ!?」  シドは突然おれのモノをぺろりと舐めた。腰が反る。彼は鼻をちんこにくっつけて、含み笑いをした。 「エッチなにおいがしてるよ」  そしておれのモノをぱくっと咥える。うわうわ、とおれは胸の中で叫んだ。 「シド、だめ、ばっちいですよ……っ! せ、せめて風呂入ってから……!」  シドの頭を押さえて顔を離させようとするが、彼はかえってがっちりおれのものを咥えこんでいる。ねっとりと舌を絡められて膝が震えた。  夫はじゅるじゅるとおれのものをしゃぶる。これは、攻めのフェラだ。きゅっと頬の肉で包んで圧迫し、裏筋を舌で刺激されて、おれはあっという間にビンビンになっていた。 「うあ、シド、だ、だめです……!」  一応口では言ってみるものの、おれはシドのフェラにとろっとろになっていた。おれも好きでよくシドのモノをフェラするけど、彼がすることはそんなにない。それなのにこの巧さ。前にドキドキしながらなんでですかって尋ねたら、本人は「器用だから」ってにこにこ笑ってけど、過去にそういう店にいてもおかしくないテクニックだ。  袋を舐められ、やわやわと唇で甘噛みされて、おれの膝はがくがくしてくる。おれのモノをしゃぶってるときのシドの顔がまた、エロい。眉間に皺を寄せ、ちょっと苦しそうで、顔は上気している。目がとろんとしている。たまらない。下半身がどくどくいってる。  口から出して、ちんこの根元に鼻を埋めてちゅっちゅとキスする。赤黒くなったちんことシドの青い目のコントラスト……卑猥だ。

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