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第5話 トイレで……
俺はすべてを放課後に賭けていた。
HRを終え教室を出ると美智也が立っていた。
「読書部なんて嘘だよね。ねっ! こう!」
俺はガン無視。何か叫んでいる美智也をそこに残して、図書室に速攻直行した。
然しながら最早女子で図書室は溢れかえっていた。お前らHR出たのか!
くそ! 仕方ない明日出直す事にして
廻れ右をした……その目の前になっなんと佐々木夏生がいた! 俺は思わず、
「さ さ 佐々木夏生だ」
ウオ~本人前に呼び捨てかよ。
「うん そうだよ えっと 笹山~」
「こうです 幸と書いてこうです」
夏生はぷっと吹き出すと、俺の腕を摑み男子トイレに飛び込んだ。
「ごめん! 痛かった?」
思いっ切り首を横に振る俺に、
「首もげるよ~ってな。ねぇ笹山君は読書部体験に来てくれたの?」
思いっ切り頷く俺。
「やぁ~ほんと? 嬉しい! 実は男子は僕と部長、それから幽霊部員がひとりの三名なんだよ。女子は約二十名もいるにさ。だからね、僕としては男子は大歓迎。ぜひぜひ本部員になって欲しいです」
なんとなんと佐々木夏生から直々に
お誘いを受けるなど勿体ない!話しである。
「入ります! 是非入部させて下さい!佐々木なつき先輩!」
夏生の目が輝く。
「やった! 有難う!」
俺は図書室に入らず為て、読書部入部を獲得したノだった。
俺は佐々木夏生とは絆があるんだと勝手に思い込んでいた。そして勢いって怖いよ。
「佐々木夏生先輩は好きな人いるのでしょうか?」
きゃ~なに口ばしっているんだよ俺は! 一瞬固まる夏生はまたもや吹き出し、
「昨日の放課後。気になる奴ができて……」
えっ! そんなぁ……俺はがっくり肩を落とし項垂れる。
然しここでそいつに負けたくない。
変な奴に見られようが、思われようが
本当どうでも良かった。
ただ知ってほしかったんだ。
俺を。俺と言う存在を。
そしてこの気持ちを……。
「佐々木夏生先輩! 俺は先輩に一目惚れしました!」
夏生はまた固まってしまった。
そして今度は長い。
笑いわないぞ? 怒ったかも。
「それは笹山君の告白なの? 本気なの?」
「はい! 冗談なんて言えません!」
「じゃ話しの続きは、帰りながらしたいな。いい?」
「はい!」
「とりあえず入部届け書く?」
「はい!書きます!」
「じゃ出ようか~」
「はい! 出ます!」
笑った! なんで?
俺たちがトイレから出ると女子たちが大騒ぎ。
「いた! いたよ! 佐々木夏生先輩! 格好いい!」
まるでアイドル並みだそ!それなのにお~れ……はあ~ばぁ~お~ぞ~じい
俺は、俺は、そ、そんなすげえ人に
告った?!??のか~!。
そっそっそっそれも~トイレで~~
詰んだな。図書室に入る最後列に並び
俺は溜め息に埋もれていた。
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