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第16話 キスのあとは?

 夏と校門で落ち合い当然のように 遠回りする俺たちは、いつもの公園にやって来た。 もう誰もいない。夏は俺の手を引くと、あの土管に向かう。 俺は手を離し、少しだけ意地悪するように先に入る。 追いかけてきた夏が、 「もう~ビックリしたよ……」 そう言うと手を差し出してきた。 その手を強く引っ張っりあげると、 勢い余って倒れ込んできた。 そのまま抱き締める俺の耳元に、 「幸に抱き締めて欲しかった……」 もう! 耳擽ったい! 息がかかる。 でもそこは我慢して、格好よくいたい俺。 「俺もしたかったよ。可愛い夏」 見つめ合うと自然に唇が重なる。 不思議だと思う。絡み合う舌は意志を持っているかのように求め合う。 誰からも教えて貰った訳じゃないのに 止まらないんだ。欲しくて欲しくて……夏が欲しいんだ 「こう……もっとして……キス」 男子がこんなに可愛く想えるなんて、信じられない。 「夏……好きだよ。夏が欲しい」 俺たちはぐちゃぐちゃになるほどキスをしても、それでもどうにもならないほど 胸の奥からこみ上げてくる熱に、疼きを覚え辛いんだ。 「こう……この先の事判る?」 正直言うと良く判らない。 なにか現実的ではない気がして。 暫くお互い黙ったまま抱き合っていた。 俺は無性に悔しくて、自然に涙が溢れてきた。鼻水を啜ると夏は驚いて、 「泣いてるの? どうして?」 「だって悔しくてさ。夏にしてあげたいのに、ちゃんと為たことが判らないんだ!それが情けなくて」 俺の背中を擦りながら、 「そんなの大丈夫だから。ふたりで調べようよ…僕だって…」 「夏も知らないの?」 夏は笑いながら、 「まあね。でも、こうよりは知っているとは思う!」 「何それ! よし! 勉強して追い抜いてやる!」 「僕も負けないから~アハハ」 ふたりでケラケラ笑ってしまった。 そして、俺たちはもう一度抱き締め合い、深いキスをして公園を後にした。

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