15 / 33
第16話 キスのあとは?
夏と校門で落ち合い当然のように
遠回りする俺たちは、いつもの公園にやって来た。
もう誰もいない。夏は俺の手を引くと、あの土管に向かう。
俺は手を離し、少しだけ意地悪するように先に入る。
追いかけてきた夏が、
「もう~ビックリしたよ……」
そう言うと手を差し出してきた。
その手を強く引っ張っりあげると、
勢い余って倒れ込んできた。
そのまま抱き締める俺の耳元に、
「幸に抱き締めて欲しかった……」
もう! 耳擽ったい! 息がかかる。
でもそこは我慢して、格好よくいたい俺。
「俺もしたかったよ。可愛い夏」
見つめ合うと自然に唇が重なる。
不思議だと思う。絡み合う舌は意志を持っているかのように求め合う。
誰からも教えて貰った訳じゃないのに
止まらないんだ。欲しくて欲しくて……夏が欲しいんだ
「こう……もっとして……キス」
男子がこんなに可愛く想えるなんて、信じられない。
「夏……好きだよ。夏が欲しい」
俺たちはぐちゃぐちゃになるほどキスをしても、それでもどうにもならないほど
胸の奥からこみ上げてくる熱に、疼きを覚え辛いんだ。
「こう……この先の事判る?」
正直言うと良く判らない。
なにか現実的ではない気がして。
暫くお互い黙ったまま抱き合っていた。
俺は無性に悔しくて、自然に涙が溢れてきた。鼻水を啜ると夏は驚いて、
「泣いてるの? どうして?」
「だって悔しくてさ。夏にしてあげたいのに、ちゃんと為たことが判らないんだ!それが情けなくて」
俺の背中を擦りながら、
「そんなの大丈夫だから。ふたりで調べようよ…僕だって…」
「夏も知らないの?」
夏は笑いながら、
「まあね。でも、こうよりは知っているとは思う!」
「何それ! よし! 勉強して追い抜いてやる!」
「僕も負けないから~アハハ」
ふたりでケラケラ笑ってしまった。
そして、俺たちはもう一度抱き締め合い、深いキスをして公園を後にした。
ともだちにシェアしよう!