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第19話 加藤!

 俺は資料室のドアをノックした。 中から加藤の声がする。 「入ります~~失礼しや~す」 開けると加藤がテーブルに突っ伏していた。 「どうしたんすか? 具合悪いんすか」 向かいに座って様子を見ていると、突然文句をつけてきた。 「お前は教師を舐めてるんだよ。なんだその言い方」 ハア? なんだ? 超絶機嫌悪い。 「はいはい! すみませんでした!」 むくっと起き上がると、加藤は徐に話し始めた。 「あのな~お前美智也と仲いいんだろ?  どんな奴?」 「良い奴」 「おい! 俺は真面目に話してるんだよ」 やばやば~お前先生だろう? 落ち着けよ。 「だったら聞き方悪いですよ」 「あ~悪い悪い、あいつは大人を おちょくるような奴?」 「いいえそんなことしません。あいつは真面目です。そして男です。だからちゃんとしてください。加藤先生」 「何を?」 仕方ない面倒臭いけどなぁ。 「先生は美智也に告られたでしょ?」 「知ってるのか?」 「勿論。親友だからね、返事待ちだって言ってたけど……答えに困ってるの?」 「当たり前だよ! 犯罪になる」 「犯罪にならなければ付き合いたい? って事?」 黙ってしまった~おい! 肝心なところだそ! 「先生は夏と兄弟だって聞きましたよ。 で……俺と夏は恋人同士です。知ってるでしょ?」  なんとか言え!加藤! 「先生も男性が好きって、聞いてますけど 合ってる?」 やっと頷く加藤。 「美智也は凄い奴なんですよ。小六でクラスメートにカミングアウトしたんです。女子から告られても悪いって言ってね。みんな黙ったままだったけど、あいつは翌日も普通に来ました。そしていつもと変わらず、何事も率先して引き受ける。嫌な顔しないでね。楽しくみんなを巻き起こむ力を持ってる。出来る? 大人だってなかなか出来無いよ。  だからみんなその勇気を認めたんだよね。美智也を悪く言う奴なんていない。 これから、美智也がそう言う事で苛められたら、第四小の奴らは黙って無いから。あいつは真剣です。先生もいい加減な気持ちで向き合わないで下さい」 「参ったな参ったな~すげぇ奴なんだなあ! 美智也は」 「ひとりの男として美智也ってどう思いますか?」 「判らない。 タイプかどうかと言われれば好きなタイプだ。だから困ってる」 俺が吃驚! 「年齢は? 随分違うよ」 「だからぁ、犯罪に為るんだよ。麻疹みたに一時のものだとは思うけど、傷つけたくはない。誤解するなよ…… 美智也が好きとは言ってないからな」 「夏と俺と三人で話す?」 また黙った…… 「そうだなぁ。夏かぁ……判った。次の日曜家に来い。朝十時だ。よろしく」 「終わり?」 「終わり! ありがとうな。それから 美智也には言うなよ!」 「了解! ではお疲れさまでした!」 「部活いけ! まだ時間あるぞ~」 「へい」 何だ足取り軽いぞ? スッキプランランですけど……

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