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第21話 今この時

 俺たちはいつもの土管公園に向かって歩いていた。 「真咲との話しはどうだったの?」 夏に見惚れている場合ではなかった。 「それがさ。相当参ってるよ~加藤」 「何故?」 「加藤、美智也がタイプとしてはど真ん中なんだって。 でも……気持ちを受け入れる訳にはいかないって、それこそ犯罪になっちまうって。それから美智也の凄さを話したんだよ。そしたら益々断りにくい事に為ってさ。そうそう今度の日曜、加藤の家に行って、俺たち三人で今後について話す事に為って、十時に集合だって」 黙って聞いていた夏が突然怒り出した。 「はあ? なんて情け無い兄貴。このくらい独りで何とか出来ないのか? 馬鹿真咲」 「いや~そう簡単にはいかないと思うよ。なんせ美智也だもん。兎に角美智也の気持ちは半端ない」 「なんで?」 「美智也はね、自分が同性が恋愛対象だって小六で俺らにカミングアウトしている強者なんだよ。それに、俺ら第四小出身者はみんな美智也の味方だから。 下手なことしたら、加藤は今後学校にいられなくなるかも。そのぐらい大変な事に為る」 「えっ! そんな? でも真咲はいい加減な奴じゃないから……それは大丈夫だけど。……人を好きになるって幸せだけど……厄介なこともあるんだよな」 「だよな。美智也は其れこそ自分は、中学生で花を咲かせるって思っているから。まず諦めることは難しいかも」 俺は愛しくてたまらなくて、夏を抱き寄せた。 「好きだから何でも許される訳じゃないしな」 夏はボソッと呟いた。 でも俺はそんなことなんかに負けないくらい夏を想っている。 子どもだって恋をするんだ! 同性だろうが、異性だろうが好きなるのに理由は無い! 大人と何が違うんだよ。 先の見通しとか? 日本経済の話しじゃないんだよ。誰に先の事が判るんだよ。 それが出来たら、大人の世界に離婚なんてあるわけないんだからな! 大人はすぐに低~い棚に自分をのせて 話すけどね。ちゃんちゃらおかしいっうの! 俺と夏はそんなこと、百も承知で先の話し為てるよ。別れることだってあり得るって理解しているけど……だからこそ今を生きたいよ! 何故なら! この人が大好きだからだよ。 夏は潤んだ瞳で唇をせがんできた。 可愛い! それは俺にとって途轍もなく幸せな事なんだ。

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