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第23話 美智也参上
あれから加藤はぐちゃぐちゃと思考が纏まらないようだった。痺れをきらした夏が留めを刺した。
「一時の感情に溺れると、教師資格剥奪だって起きるんだからね、とにかく美智也くんと話さないと埒があかない」
「じゃここに呼べば? あいつはすぐ来るよ。そしたら話しは早いぞ~」
加藤は焦りまくる。
「だめだめ! それは拙いよ! 拙い!」
「あのね、ご両親に会う前にまずは美智也くんときちんと話さないと。断る事になっても。学校でちょこちょっと話せるもんじゃないでしょ?もう~だらしがないんだから」
「美智也を呼ぶよ」
加藤の返事なんて待ってられないわ!
俺は美智也に電話をした.
これまでの経緯を搔い摘まんで話すと
奴は飛んで来た。
「お邪魔します!」
座ると同時に俺に詰め寄る
「何? 何が何だか判らない!だいだいなんで幸がいるの!」
「ごめん。俺が笹山に相談したんだよ」
「美智也くん、僕は加藤の弟なんだよ。
幸だけではどうにもならない話しだから。こうして二人で話し聞いてたんだ。
おい兄貴! しっかり話せよ」
何度も深呼吸した加藤は、
「美智也の気持ちを聞いて悩んだ。本当に悩んだ。元々俺は同性しか好きに為れない。だから……美智也に告られたとき
正直嬉しかった。何よりも美智也がタイプだったから……けど、付き合って仕舞ったらこれは犯罪になる。それに周りの理解は絶対得られない。情けないけど保身だってある。だから考えれば考えるほど苦しいし辛い」
美智也は静かに聞いていた。
そして徐に口を開いた。
「先生? 僕の事恋愛対象好き? 僕は今の先生の話し聞いて、益々好きに為った。恋愛経験はないけど、先生の事可愛いくて堪らない。う~ん正直抱きたいって思った」
「えっ!」
俺ら三人はハモったよ。
抱きたいって……美智也経験ないじゃん
俺も無いけど!
加藤は気を取り直して話し始めた。
「まあ何だ、今の美智也の発言は、
俺も動揺したけど。夏が言うように俺は今馬鹿になってる。でも……いい加減じゃないぞ。俺は、美智也が好きだ……
付き合いたい」
美智也は一瞬固まったが、加藤に抱き付いた。
加藤は美智也を抱き止めながら、
「だだ、ここからが肝心だ! 美智也がちゃんと勉強して高校に入り、将来の目標に向かう事が条件。それまではプラトニックな関係で行く。この先別れる事もあり得る訳だけと、どれだけ絆を大切に出来るかだ。俺と美智也の真剣度だな。
体の関係無くて駄目になるなら……
それまでだ」
何だそれ? それは理想論だろう?
いやいや加藤が一番心配だよ。
大丈夫か? 美智也は誘惑するぞ!煽るぞ! 何たって目年増耳年増だからな。
「俺は、先生と恋人同士に為れるなら
頑張ります! でもキスぐらいは
いいでしょう? だめ?」
ほら来た! どうする加藤~頑張れ~
確かに加藤の話しは大事な事だ。
俺たちにも当てはまる訳で夏ともちゃんと話すべきだなって思った。
然し加藤大丈夫なのか?欲求不満にならないのか? 好きな奴を前にして~
だってその味知ってるのは君! 加藤くんだけだからな!
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