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第61話 この行為だけに没頭させて

 風呂で綺麗に洗われた譲は、気持ちのいい手にうっとりしながら、ベッドに押し倒される。  ヴィクトルは鎖を繋ぐ前に手首に唇を押し当て、熱い視線を返した。 「痛いだろう、可哀想に。いけないよ。この傷だって譲の全部は私のものなのだから」 「うん、ごめんなさい気をつける・・・」  譲はヴィクトルを見つめる。 「早くしよ」  セックス以外のことは考えられなくして欲しい。  早く早くと急かし、譲からヴィクトルにキスをした。 「痛くして、公爵。激しいのがいい」  今日に限ってはあの頭が飛ぶような電流の痛みで貫かれてもいいかもしれない。譲はヴィクトルの舌を吸い、腰を浮かせて股間を擦り合わせた。 「望み通りしてあげるからそんなに焦らない」 「・・・・・・あ、ぁ、ン」  柔らかな手つきで内股を撫でられる。場を盛り上げるために譲も卑猥な声を上げる。洗われていた段階でもはや兆していた譲のペニス。ヴィクトルがそこをさいなめるように鷲掴み揉み合わせた。 「あっ、いたぁっ、取れちゃう・・・・・・っ!」 「ああ、取って喰べてしまいたいくらいだ。こんなにツユを溢れさせて誰を誘うつもりだい?」  そう言って譲の股の間に身体を伏せると、ペニスの先をちゅるると吸い上げる。  譲はあっという間に熱芽を破裂させた。  吹き出した精液を一滴残さず飲み干され、休みなくちゅぶちゅぶと口腔粘膜で急所を捏ね上げられる。 「出てるからぁっ、もう、やめ、ぁ、あう、ひぃっ」 「激しくと言ったのは譲だ。出し切るまでやめてあげないよ」  意地悪く笑うが、弓なりになる譲の腰が反り過ぎて怪我をしないよう注意深く手を添えてくれている。  断続的に射精させられているせいで瞼の裏がぱちぱちとしてきた。 「も、やぁ」 「限界?」  ヴィクトルが唇を拭いながら顔を上げる。  譲は頷いた。 「本当に? もうやめていいの? これは欲しくない?」  ヴィクトルの下半身を押し上げている高ぶりに手を導かれて触れる。 「やだ、欲しい」 「じゃあ頑張って私を愉しませてごらん」 「ぅう・・・俺も口でする?」 「ふふ、とっても魅力的だけど今度にしようかな。今夜は譲の好きなやつをやろうか」  耳元で囁かれた後、身体が離れて行った。  ヴィクトルは衣装部屋に消えると、細長い尿道ブジーを手にして戻ってくる。輪っかの持ち手がついたそれは玉が連なったような形状で、先端にかけて湾曲していた。  譲が経験した中で最も太い。  これを尿道に挿れてから、ヴィクトルのペニスを尻に突き立てられると、一発で意識が飛ぶ。 「期待だけでカウパー液が溢れてきたね」  真っ赤に腫れた先端の真ん中で鈴口がひくついている。  ヴィクトルは譲の目の高さに銀のブジーを持ち上げる。潤滑油が垂らされた。 「ぁ・・・、ぁああ」 「まだだよ。これからだ」  亀頭を撫でる指。優しく押すように拓かれた孔にブジーの先端がめり込む。 「んくっ」 「上手に飲み込んでる」 「ひ、ぁ、あっ、」  最端の玉は小指と同じくらいの大きさだが、徐々に玉の質量が増えるのだ。ヴィクトルが持ち手の輪っかを指で摘み、ずっ、ずっ、と尿道に押し込んでいく。 「この奥だね、いくよ」  ヴィクトルは前立腺の手前のつっかえる場所で勿体ぶるようにブジーを回転させた。 「あ、ぅ・・・うあ」  ひくんひくんと全身が痙攣する。譲は口を閉じる余裕を失くしていた。顎には涎が伝った。 「うん、気持ち良さそうで嬉しいよ」  ヴィクトルは譲の頬にキスをすると、ブジーを前立腺に到達するまで押し込んだ。 「あひぃいっ」  ピンとつま先が伸びて脚が硬直する。膝下を失った片脚も感覚はないが腿が伸びて、まるで同じ反応を見せているようだった。 「後ろに挿れるね」 「は、ひ、っ・・・・・・ぅうっ!!」  慣らされていない後孔にペニスが充てがわれた。  ゆっくり味わいながら襞が引き延ばされて痛みを伴う。残虐なくらいの致され方だがこうでいい。  ヴィクトルのことだけを考えていられるし、譲の腸襞はヴィクトルの肉杭を喜んで迎え入れるように蠕動した。  絡みつく襞を掻き分け、熱が臍の裏側あたりまで侵入してきた。 「あぅ、あ、あああ」 「はぁ・・・ぁぁ、いいよ」  譲の嬌声とヴィクトルの吐息が重なった。  ぴったりと肌と肌を合わせると、突き上げが始まる。  前立腺が前と後ろから挟まれて、もみくちゃにされている激しさに喘いだ。  何処もかしこもいっぱいに埋められて意識が飛ぶ。 「———・・・・・・いたい」  変わらずに一緒にいたいよ。公爵。  だがそう願っている時点で何かが変わってしまっている。  譲は認めないといけなかった。  見たくないものを見せてくる現実は恐ろしい幻覚の中の暗闇と大差ないのかもしれない。  何も見たくない。もう目を瞑りたい。連れ出されても地獄なら、譲はヴィクトルが手を繋いでいてくれる地獄を選びたかった。

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