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「あーぁ、もうすぐ体育大会かぁ」
徐々に近づいてくる次の行事。
放課後、教室の窓から応援団が練習してるのを眺めながらゆっこちゃんと共にはぁぁ…と溜め息を吐く。
けーすけはクラス代表の運営委員に選ばれて、最近忙しそう。
だから、このところ進展なし。
「伊月は高くん見にくるんでしょ? 頑張んなきゃだね。
はー啓介まじで運営委員選ばれるとか無いわ……全然一緒にいれないじゃん。もう私諦めろってことかな」
「今だけだって!体育大会終わったらまたいつも通り3人だから、ねっ?」
「けどさぁ……あ、」
「?」
なにか見つけたゆっこちゃんの視線を追うと、そこには白色のふたり。
「指輪はまだ返してないけどさ、もう薔薇も指輪付けちゃってるし公認だよね」
「そうだね。仲良さそうだねぇ」
「うん」
啓介と同じく運営委員のふたりは、グラウンドを整備中のようでライン引き。
途中に生えてる雑草を抜いたり白線を進めたりと、仲睦まじい様子が見える。
ポツリ
「私たちも、あそこまでなれるのかな……」
ワントーン下がった小さな声に隣を向くと、切なげに眺めてる顔。
「ーーっ、ゆっこちゃん、絶対だいじょうb」
「ゆっこー!なんか廊下で呼んでるよ!」
「っ、」
ビクッと震えた目の前の肩。
振り返った先にはクラスメイトと、知らない男。
「あ、はは、ごめんちょっと行ってくるね」
「ぇ、そんな…ゆっこちゃん待っ」
「先帰ってていいから」
「じゃあまた明日っ」と手を振る表情は、空元気の笑顔。
「ぁ……」
そのまま、知らない奴の後をついて行ってしまった。
(っ、けーすけ)
ねぇ、ゆっこちゃんのこと早く見つけてあげてよ。
これ初めてじゃないんだよ。俺のヨミ通り、しかも近ごろ多くなってきた。
ゆっこちゃんが見せてないだけだけど、告白断るのって結構体力使うんだよ、きっと。
あんなに努力してるのに本命の人に振り返ってもらえないなんて、もう…可哀想だよ……っ。
「〜〜っ、」
待たずに帰るなんて出来なくて、結局ゆっこちゃんが戻ってくるまでずっと白色のふたりを眺めてた。
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