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「し、失礼します」
指定のある空き教室へ行くと、既に各クラスからの実行委員でぎっしり。
とりあえず後ろのほうへ向かう。
(後ろ空いてて良かったぁ…みんな前から詰めてるんだ)
実行委員会は生徒会と一緒に仕事できる分すごく人気。
みんな目がキラキラしてて、今か今かと始まるのを待ってる。
(目立たないようにって思ってたけど、これなら変なことしなければ大丈夫かな)
ガラッ
「皆さんお揃いですね、こんにちは」
前の扉から入ってきたのは副会長さん。
その後に会計・書記さんと続いて、最後に会長が入ってきた。
(わぁ……っ)
生徒会長の明(アカリ)先輩。
僕のひとつ上の学年、この学園の王子様。
こんなに近くで見るのは物凄く久しぶりで、思わずパッと視線を下げてしまう。
「始めてもいいですか会長?」
「うん、お願い」
「では、まず書類を配りますので回してくださいーー」
シャンとした副会長の声で、文化祭への会議が始まった。
「これが俺のグループかな、よろしくね」
「「「はいっ!!」」」
副会長の説明はわかりやすくて、自分たちが実行委員会として何をすればいいのか明確に説明してくれた。
これなら僕でも大丈夫だなって、よし頑張ろ!って思えて。
(なのに、)
『それでは、最後に皆さんを4つのグループに分けます。今後はそれぞれグループにいる生徒会役員の指示を聞き動いてください。 公平にくじ引きとします』
前から順番に引いていって、残り物には福があると思いながら1番最後に引いた、結果……
「じゃぁ取り敢えず自己紹介しよっか。
俺は明。もう知ってるだろうけど生徒会長。次どうぞ」
(なんで僕、王子様と一緒なのっ!?)
嘘、嘘でしょなんで!?
1番倍率高かったよねきっと!? そんなのがなんで最後まで残ってたの!?!?
おかしいおかしい、確実におかしいこんなの聞いてない。
だって…王子様の顔が、こんなにすぐ側にあってーー
「……ーい、おーい?」
「ぁ、は、はいっ!」
「大丈夫? ぼーっとしてたけど疲れた?」
「いいえ!平気です」
「本当に? 無理しないようにね。ほら君の番だよ、名前教えて?」
心配そうに見つめられ、慌てて両手をパタパタ振る。
目が合ったのなんてあの日ぶりで、緊張と恥ずかしさで心臓が一気にうるさくなって。
「ぁ、えぇっと、1年の唐草(カラクサ)です。よろしくお願いしますっ」
「唐草くんね。うん、よろしく。
よし、これでみんな回ったかな。俺のグループは主に各クラスの出し物の進捗とかをチェックするから、他のとこより動かないといけない。けど、手分けしてやっていこう」
「「「わかりました!」」」
(嘘だ)
やる気のある返事にニコリと笑う王子様をガン見しながら、バレないようほっぺを抓った。
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