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7.好きになってしまいました2
手が、伸びてきたのは分かった。
優しいヤツだから、涙を拭ってくれようとしてるんだと思った。
でも、男が男に拭われんのもな…って、笑ってその手を振り払うつもりでいた。
首の後ろに、手が添えられた。
背を倒されて、後頭部が畳に触れた。
───えっ…?なに……?
何故かヒロが、上にのし掛かってくる。
顔が近づいて、鼻先が触れる瞬間、ヒロが目蓋を閉じたのが分かった。
それはきっと、一瞬の出来事だったんだろう。
あ……やわらかい……。
唇に下りてきた感触は、弾力があって気持ちがふわふわして……、心臓の辺りがきゅーっと切なくなった。
なんだコレ……?気持ちいい……
白いシャツの腕にぎゅっとしがみつく。
「蓮さん……、いいんですか…?」
いい…?なにが───?
唇が離れて、追い求めるみたいに目を開ける。
ヒロの瞳に、俺の顔が映っていた。
トロンとした目に、半開きの口に、………っ!?
なんだこれ!? 俺、こんな顔…っ!?
改めて見たヒロの顔は、切なげに眉根を寄せていて………
待て──!これ、もしかして俺っ、襲われてる!?
つーか!既に襲われたっ!キスされた!! 今のって…だって、そういう……!?
「蓮さんの泣き顔見たら、俺……」
ま…っ、待て!お前、太ももになに当てて…っ!?
「可愛くて…ヤバい…」
ヤバいって………、ヤバいのはお前だバカ──っ!
「はな──せっ!」
「っ───!!」
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