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13.俺を取り巻くヒエラルキー3
話は終わったと言うことなのか、言いたいだけ言って、須賀は立ち上がり教室を出て行く。
それと入れ替わるようにして、クラスで一番仲のいいレイジが教室へ入ってきた。
目が合うと、「おはよ」と軽く手を上げる。
ヒエラルキーの最上層、と言う言葉が頭に浮かぶ。
レイジは学年でも5本の指に入る、クラス一のイケメンだ。
俺のことを蓮と呼び捨てで呼んでくる、数少ない友達。
でも、俺もレイジのこと呼び捨ててるし……うぅ……。
「どうした、蓮?眉間に皺寄ってるぞ」
指先で、皺の部分をなぞられる。
「なんか…、女子に絡まれた」
「マジで?お前、女相手にやられてんなよー」
頭をポンポン撫でられた。
これって、スキンシップ?
……いやいや、こんぐらい友達ならフツーにやるって。
「レンちゃん!飲みもん…あっ……」
陽太の声が聞こえて、教室の入り口に目をやった。
「それ、蓮の?」
「ああ。ワリ、はい」
待て待て、なんでレイジに手渡す。
それじゃ、まるで───
──第2層、チャラ男。最上層がいない時に限り係わることを許される。
須賀の言葉が脳裏によみがえる。
「陽太、ありがとう」
お礼を言うと、苦笑して手を上げるだけの返事をくれる。
自分の席に戻っていく陽太を見送っていると、レイジが目の前にミルクティーのペットを差し出し、軽く振ってきた。
「蓮、一口分けて」
「あ、うん。いいけど…」
自分でくれと言ったくせに、一口飲むなり顔をしかめる。
「……甘っめぇ、コレ。女子みてぇ」
「あーっ、なんだよそれーっ」
「こんなんばっか飲んでっと、身体まで甘くなっちまうぞ。…唇あたりは、もう甘そうだよな」
「………っ!!」
伸びてきた指先に唇をなぞられて、思わずのけぞるように椅子から立ち上がった。
ガタン、と椅子が大きな音を立てる。
こんな遣り取り、いつものことなのに……。
レイジがびっくりした目でこっちを見てる。
「だから言ったじゃない」
何時の間に戻ってきていたのか、後ろから須賀の冷徹な声が聞こえた。
須賀のせいだ。
こんなことされても、今までは全然気にならなかったのに。
それから………、ヒロのせいだ。
ヒロが、あんなキス、するから…。
感触が消えなくて、俺……おかしくなっちゃってるじゃないか。
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