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15.恋敵?1

1学期中間考査。 長かった2日間も、やっと今日で終わる。 ヒロの学校とこも同じ日程だって言ってた。 朝、部活は明日からで用事もないから、午後はずっと家にいる予定だって聞いた。 俺は友達と遊ぶ、って言ったら羨ましがられた。 「なんだよ。お前も友達と遊べば?」 「俺は、貴方の友達が羨ましいんです」 そうまっすぐ見つめられたら、悪い気はしない。 「蓮、どっか寄ってく?メシとか」 ほとんど空っぽのカバンを担いで、レイジが席から立ち上がる。 「俺、用事ある」 「なに?」 「地元の友達と遊ぶー」 「じゃあ俺も行く」 「えー、ダメだよ。2人で遊ぶんだもん」 「女?」 「男」 「じゃあいいだろ」 「やーだね」 「そんなこと言う子には、返してあげません」 机に出して置いたカバンを素早く取り上げられた。 「レイジ、怒るぞ」 「だって俺も蓮と遊びてーもん」 「今日はヒロと遊ぶの。だから、また今度な。ちゃんと遊んでやるから、カバンは返しなさい」 頭を撫でてやると、渋々カバンを差し出してくる。 「…ソイツ、危なくねーの?」 「危ないってなんだよ。ヒロはいい奴だぞ。俺の嫌がること絶対しないし、優しいし」 「お前の周り、そんなんばっかだろ。俺だって、お前の嫌がることしたくねーし」 「カバンとったじゃん」 「たまに意地悪したくなんの!」 「ほら、行くぞ。駅まで一緒してやるから」 こんなことしてたら、どんどん帰りが遅くなる。 カバンを掴んで先に立って歩くと、レイジが慌てて追いかけてきた。 「せめて渋谷でメシ食ってこうぜ、一緒に」 「だーめ。なし崩しで結局遊ぶことになりそうだから」 「ヒロってのも呼んでいいからさあ」 先輩ばいばーい、と声を掛ける後輩女子に、レイジと2人で手を振り返す。 キャーッ、と黄色い悲鳴が上がった。 芸能人みたいだな。 他人事のように思う。 後輩にはモテんだよな…、俺。 「なんでクラスの女子は冷てーのかな」 「そんなん、蓮が可愛いからに決まってんだろー。嫉妬嫉妬」 こいつは……いつもこれだ。 アイツなら──ヒロなら、別の答えをくれるのかな。 俺のこと、真っ直ぐに見てくれるから、悪いところも分かっててくれそうな、そんな気がする。 それとも、恋は盲目だから見えてないだけで、そのうち悪い部分が見えてきたら……。 友達なんてやってらんねーって、離れて行っちゃうのかな…。

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