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16.恋敵?2
「あー……、どうした?」
ぽすん、と頭を押さえられる。
「テスト、全然ダメだったのか?」
「えっ?ううん…」
「なんか、泣きそうな顔してる」
「えっ!?やっ、平気だけどっ」
泣いてる覚えはない。けど、一応腕で目元をこすってみる。
「やっぱ泣いてねーし」
「だから、泣きそうなっつったろーが」
「泣くようなことないし」
「でも、心配するだけならタダなんだし、いーだろ」
「…お前、いい奴だな。よし、明日遊んでやる」
「へぇへぇ、有り難いこってす」
「む…、そーいう言い方すんなら遊ばねーからな!」
「あっ、ウソウソ!じゃあ、カラオケいこーな」
「うん」
「ゲーセンも、あ、夕メシも食ってこうぜ。あとバイト代入ったから、服買い行きたい。蓮の好きな服選んで。俺それ着るから。お前どんなん好み?」
「そうだなぁ…、肩出しで、ミニスカートで…、あ!でも清楚なワンピースも捨てがたい」
「……そんな俺、見たい?」
「んー…、ちょっと」
「お前が着なさい。その方が可愛いから」
「可愛くねーだろ。おにーさん、そういう冗談は嫌いです」
「はい、ごめんなさい」
それが謝ってる態度なのか。
頭を抱き込まれ、くしゃりと髪を掻き混ぜられた。
ほとんど位置の変わらない高さの顔を、少しだけ見上げる。
その顔は確かに笑って見えるのに、交わった視線に細められた目は、何故だか少し、切なく感じられた。
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