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24.俺のものになって2
手に持ったままだったスマホが振動した。
「あっ………」
名前を見るなり、指が勝手に着信を押す。
『蓮さん!?』
何日ぶりに聞く声だろう……。
心が、震えた。
『電話くれました!? 俺、すぐ行かなくちゃなんなくて、やっと部活抜け出せたんで!』
あの時、通話…押しちゃってたんだ……。
『俺、ずっと蓮さんの声聴きたくて、電話我慢してたから』
「っ…ばか……、なんだよ、お前…っ」
『蓮さん…?……泣いてる?』
「…ぃてねーよ。バカにすんな、お前っ」
会いたい───、ヤバい……、会って、キスしてほしい。
この前みたいに。
会って、抱きしめられたい。
あの子みたいに。
なんだよ、これ……。まるでこれじゃ、俺が恋してるみたいじゃん……。
「ごめん、レイジ…」
スマホを耳から外して、レイジに頭を下げる。
「俺、ヒロじゃないとダメみたいだ。俺が一番じゃなくても、浮気されてても、ヒロじゃなきゃダメだ」
「……後悔、するかも」
「しないよ」
「…ちったぁ考えろ」
おでこをピンっと指先で弾かれた。
それから、俺の好きな顔で、ふわりと微笑む。
「わかったよ。いっといで。その代り、泣いて帰ってきても、胸は貸さないからな」
「うん」
レイジが拾ってくれてたカバンを引っ掴んで、廊下に走り出す。
「ヒロ!」
繋がったままのスマホに呼びかけた。
『蓮さんっ!?いまっ、いろいろ聞こえてっ…!』
「後で話してやる。とりあえずお前、部活サボれ!」
『えっ…!?』
「お前が来ないと俺が泣く!」
『はっ、はい!わかりました!』
通話終了を押して、履き替えてない革靴のまま外へ飛び出した。
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