27 / 34
27.告白の決意3
ヒロはなかなか口を開かない。
人の一世一代の告白を遮っといて、こんなに待たせるってのはどういう了見だよ。
「あの、…蓮さん。怒ってますか?」
「………べっつにー?」
「電話のこと…なんですけど……」
「電話……?」
…あぁ、ずっと連絡絶ってたくせに、なんで突然電話したのか、ってことか。
「あの時さぁ、グラウンドの体育倉庫で、襲われかけたんだよ」
「おそわれ……っ!? あの電話の人に!?」
電話の人………?
「…あっ、違う違う。レイジは親友。俺のこと助けてくれたの!」
ヒロの顔が蒼く染まってる。
もう過ぎた話 なのに…しょうがねーなぁ。
安心させるように、笑ってみせる。
「運動部と4対1とかって、超卑怯だと思わねぇ?」
「そんなっ……、良くあることなんですか?」
「いや、はじめて。すっげーテンパって、すっげー怖くて、俺………つい、お前に助け、求めちゃった。ガッコ、違うのにな」
「ごめんなさいっ!」
大音量の謝罪の言葉を聞くと同時に、思い切り体を抱き締められていた。
ドキンと心臓が跳ね上がった。それからきゅーっと締め付けられるように胸が痛んで、頭に甘いしびれが走る。
「傍にいられなくて、守れなくて、ごめんなさい」
……なんだよこれ……、気持ちいい───
抱き締められた、胸に頬を擦り付ける。
ゾクゾクする。
もっと、抱きしめてほしい。
もっと強く抱きしめて、もっと感じさせて欲しい………
「あの、それで…、その親友の、レイジさんって人は…」
「ん…?」
「っ……なんて顔してるんですか…」
見上げた先で、さっきまで青かったヒロの顔が、赤く染まった。
手を伸ばして、ほっぺを指先でなぞる。
熱を持ってて、やたらと熱い。
「俺、ヘンな顔してる?」
「変って言うか……、理性で押さえ込むのでいっぱいいっぱいです…」
若いなぁ、ヒロ。また俺に、欲情してる。
悪い気は、しないけど……。
「レイジかぁ…。仲良くできるなら会わせてやろうか」
「別に…会いたいわけじゃないから、いいです。俺はただ、さっきの電話でなんか、レイジ…さんが、蓮さんのこと……」
「ああ、惚れられてるって話?」
「っ……!!」
いちいちオーバーに驚く奴だな。
それとも、やっぱり男同士なんておかしいって気づいた、かな。
「俺、ちゃんとごめんってしたし、アイツからも、泣いて帰っても胸は貸さないって言われちゃったから、…これからも、今まで通り、友達」
「それって、可能なんですか?」
「可能だろ。それともヒロは、自分のことを相手が好きだって言ってきたら、もう友達やめたくなっちゃうタイプ?」
「えっ、いや、それは……」
「もし俺がお前を好きだって言ったら、もう一緒にいられない?」
「それは…っ、また、違うと言うか、なんて言うか……」
「それとさ、俺もお前に確認したいことがあったんだけど」
「なんですか?」
「お前、カノジョいる?」
「へっ………!?」
あ、固まった。
こいつ、バレなきゃOKとか思ってたのかな。
それとも、やっぱり俺に対する好きは、ちょっとした思春期の興味本位?
まあ、いいか。それでも俺が伝えたいことは、変わらないんだから。
ともだちにシェアしよう!