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27.告白の決意3

ヒロはなかなか口を開かない。 人の一世一代の告白を遮っといて、こんなに待たせるってのはどういう了見だよ。 「あの、…蓮さん。怒ってますか?」 「………べっつにー?」 「電話のこと…なんですけど……」 「電話……?」 …あぁ、ずっと連絡絶ってたくせに、なんで突然電話したのか、ってことか。 「あの時さぁ、グラウンドの体育倉庫で、襲われかけたんだよ」 「おそわれ……っ!? あの電話の人に!?」 電話の人………? 「…あっ、違う違う。レイジは親友。俺のこと助けてくれたの!」 ヒロの顔が蒼く染まってる。 もう過ぎた(こと)なのに…しょうがねーなぁ。 安心させるように、笑ってみせる。 「運動部と4対1とかって、超卑怯だと思わねぇ?」 「そんなっ……、良くあることなんですか?」 「いや、はじめて。すっげーテンパって、すっげー怖くて、俺………つい、お前に助け、求めちゃった。ガッコ、違うのにな」 「ごめんなさいっ!」 大音量の謝罪の言葉を聞くと同時に、思い切り体を抱き締められていた。 ドキンと心臓が跳ね上がった。それからきゅーっと締め付けられるように胸が痛んで、頭に甘いしびれが走る。 「傍にいられなくて、守れなくて、ごめんなさい」 ……なんだよこれ……、気持ちいい─── 抱き締められた、胸に頬を擦り付ける。 ゾクゾクする。 もっと、抱きしめてほしい。 もっと強く抱きしめて、もっと感じさせて欲しい……… 「あの、それで…、その親友の、レイジさんって人は…」 「ん…?」 「っ……なんて顔してるんですか…」 見上げた先で、さっきまで青かったヒロの顔が、赤く染まった。 手を伸ばして、ほっぺを指先でなぞる。 熱を持ってて、やたらと熱い。 「俺、ヘンな顔してる?」 「変って言うか……、理性で押さえ込むのでいっぱいいっぱいです…」 若いなぁ、ヒロ。また俺に、欲情してる。 悪い気は、しないけど……。 「レイジかぁ…。仲良くできるなら会わせてやろうか」 「別に…会いたいわけじゃないから、いいです。俺はただ、さっきの電話でなんか、レイジ…さんが、蓮さんのこと……」 「ああ、惚れられてるって話?」 「っ……!!」 いちいちオーバーに驚く奴だな。 それとも、やっぱり男同士なんておかしいって気づいた、かな。 「俺、ちゃんとごめんってしたし、アイツからも、泣いて帰っても胸は貸さないって言われちゃったから、…これからも、今まで通り、友達」 「それって、可能なんですか?」 「可能だろ。それともヒロは、自分のことを相手が好きだって言ってきたら、もう友達やめたくなっちゃうタイプ?」 「えっ、いや、それは……」 「もし俺がお前を好きだって言ったら、もう一緒にいられない?」 「それは…っ、また、違うと言うか、なんて言うか……」 「それとさ、俺もお前に確認したいことがあったんだけど」 「なんですか?」 「お前、カノジョいる?」 「へっ………!?」 あ、固まった。 こいつ、バレなきゃOKとか思ってたのかな。 それとも、やっぱり俺に対する好きは、ちょっとした思春期の興味本位? まあ、いいか。それでも俺が伝えたいことは、変わらないんだから。

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