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34.紡がれていく物語2
授業が終わり、大学構内、待ち合わせしたカフェへ急ぐ。
……あそこだな。
カフェの入口手前、女の子の溜まってる場所。
1人だけ、頭が飛び出してる。明るい茶色に染めた髪。
「レイジ」
声を掛けると、道が開いた。
女の子たちは、レイジを見るのと同じ目で俺のことを見てる。
まだ、猫被れてる。レイジと一緒にいても、嫌われてない。
高校の二の舞は、ちょっと辛いもんな。
「蓮~っ、腹減ったぁ」
「ワリー、待たせた」
「なに食う?ここでい?」
「なに?食うって。今3時過ぎなんだけど」
「だから、おやつーっ」
「…ま、いいけど」
食券を買って、ミルクティーを受け取る。
レイジはブレンドコーヒーにサンドイッチまで買って、遅れて席に着いた。
「相変わらず、甘いの飲んでんねぇ。唇甘くなっちゃうよ」
「それ、前にも言ってたぞ」
「そーだっけ?」
苦そうな褐色の液体を口にして、レイジはしれっと笑う。
「今日家行っていー?ひと狩りいこうぜ」
「あー、今日はヒロに勉強教えに会長が来るから、ムリ」
「立梨 行くの?じゃあ俺行かなかったら仲間外れじゃん! 益々行く、絶対行くーっ」
「遊びじゃないんだぞ。ヒロ、受験生なんだから」
「んじゃ、お前だって邪魔んなんじゃん」
「………まぁ…」
ヒロは会長の通っている大学を目指してる。
で、俺が家庭教師として紹介したんだけど…。
勉強の日はいつも会長に、邪魔するなら部屋で待っていろ、とか言われてる。
俺が2人を引き合わせてやったってのに。
ヒドい。邪魔、とかって……。
……うぅ……
「ひと狩り、いっとく…?」
悩んだ末に導き出された結論に、
「いぇーい、蓮ちゃん大好きっ」
レイジは大きく右手を掲げてみせた。
「はいはい」
応えるように、カスンと音がする程度のハイタッチを返してやる。
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