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2.薄紅(うすくれない)

 「……何?」  股関を見た後、から笑いした俺を不審に思うのも無理はない。 「あ…ごめん、規格外にデカいなって思ってつい」  慌てて、悪意はありません、悪気があって笑ったんじゃないんだ、とそう言う意味で謝罪した。  ……んだけど……  もしかしたら、笑われたことより先に、見られたことの方が勘に触ったかもしれない。  例えば、トイレで並んで用を足してる時や、一緒に風呂に入ってる時、無遠慮にガン見されたりしたら、俺だってムカついちゃうし。  そう思ったから、 「あの……、デカいからって、見ちゃってごめん」  ごめんの気持ちがちゃんと伝わるように、ベンチから立ち上がって頭を下げた。  返答を待っていれば、徐々に近づいて来る気配。  それから頭上に影が掛かって…… 「慣れてるから気にするな」  ビクリと震えた肩を、ポンポンと優しく叩かれた。 「えっ? ……慣れてんの……?」 「ああ、こんだけデカけりゃ結構目立つからな。皆、気になんだろ」  橘が俺を追い越してベンチに座るから、倣って隣に腰を下ろした。  橘は背が高いから、顔を見上げてれば極デカち○こも目に入ってこなくて助かる。  主張はものすご~く感じるんだけど。  見てない……見てないですよ、俺は。 「そっか……。橘、バスケ部だもんな」  何も気にしてないフリで会話を続ける。  フリでも、『気にしてない』を続けてれば、矢鱈と存在感の頑強な青年の主張もそのうち気にならなくなるハズだ! 「俺のこと、知ってんの?」 「うん。橘、有名人だもん。なぁ、やっぱり運動部って着替えとかあるから、そん時にでも見られちゃうの? まあそんだけデカけりゃ、パンツの上からでも目立ちそうだしなぁ」 「……パンツ…?」 「え? 着替えの時って下着も替えんの? ……あっ! もしかしてシャワー浴びたりするから?」 「……周防、………」  橘が言葉を切って、思案するように指で顎に触れた。  何考えてんだろ?  ……にしても、考えてる顔もカッコいいってんだから、イケメンはズルいよなぁ。  ……ハッ! そう言えば、橘も俺のこと知っててくれてんだよね。  名前呼ばれたし。  有名な奴に知られてるなんて、なんだか嬉しい!  もしかして、実は俺も有名人だったりする? 「……周防、さ…」 「はいはいっ!」  勝手に嬉しくなって、返事の声が大きくなる。  だけど、手まで挙げたオーバーアクションの俺を笑うでもなく、橘は固い表情のまま、その顔を徐に下へ向けた。 「俺の…股関、どんな風に見えてる?」 「えっ…、えっ?! っ…そりゃあもうっ、メチャクチャ立派じゃん! なんかもう、崇め奉るべき御神木感あるって言うか! サイズはえげつないんだけど色は綺麗だから、女の子にも喜ばれそうだし…って! そんなに強調してくんなよ、橘~っっ」  ついついまた目に映しちゃったじゃないか。  なになに? もしかして、こんな立派なもんぶら下げといて、まさかコンプレックスとか言う訳じゃないよな? 「えっと、さ……俺は、カッコよくて羨ましいと思うよ、橘のち○こ!」 「っ……!」  息を呑む音と同時に、目の前で、橘の…橘がピクリと震えた。 「っ!?」  何に反応したんだ!?  御神木がちょっとだけ、樹齢を上げた。 「その……」  つい、まじまじと見つめてると、不意に掌で押さえるように隠された。  なんか……目の前で慰められてるみたいで、ちょっとエロい……  って、そう言やモロ出しで見えるの俺だけなんだっけ。  実際はパンツもズボンも穿いて…て………、っっ?!  ───待て! 俺っ、………橘に、なんて言った!?  サイズは良い!  布越しで分かるデカさ、って言えば誤魔化しが効く。  けど、けどっ、俺、橘のち○この……  色まで答えた~~~っ!! 「もしかして周防、………俺のココ、さ……、透けて見えてる?  デカいって、背じゃなくて……こっち?」  終わった───!!!

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