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4.良いヤツか悪いヤツか

 俺の申し出は予想外のものだったらしく、暫く固まった橘は、やがてちょっと赤く染まった顔を誤魔化すようにゴホゴホと軽く咳をした。 「……いや、そこは気にしなくていい」 「そう? あんがとー」 「あと、まあバレないのが一番だとは思うが、もしバレたとしても他の奴にはおんなじ事を言うなよ」 「俺のち○こも見せようか、って?」  なんでか分からなくて首を傾げる。 「それ…なあ……?」  ……なんでそこで薄ら笑いだ。 「うちさ、男子校だろ? 外じゃカノジョ居る奴もいるけど、まあ皆大概、校内じゃ女に飢えてる。……だろ?」 「うん、まあねぇ。若い女の子が校内に居るの見ただけで、みんなお祭り騒ぎだもんなー。狼降臨って言うか」  俺は姉ちゃん達で女慣れしてるからあんまり気になんないけど。  女は鬼だと、俺は知っている…! 「……で、……なんだけどな? 周防、結構人気あるから……」 「えっ、マジで!?」  知らなかった! 俺、皆からカッコいい~って憧れられてたんだ!! 「橘も人気高いよ! 俺も、橘みたいにカッコ良くなりたいもん」  嬉々として伝えたんだけど、橘は何故か微妙な表情。  ……もしかして、俺に褒められても嬉しくなかった……? 「……や、そうじゃなくて…な」 「そうじゃないって、何が?」  俺の心の声読んだ?  まさかこいつも超能力者なのか!?  ───なぁんて。  ま、普通に顔に出ちゃっただけなんだろう。  皆からも良く、何考えてるかすぐ分かる、って言われるし。  いや、そんなことより……。  なんで急に口籠っちゃったんだろ。  なんか、言いづらいようなこと?  それとも、ほんとに俺に褒められても嬉しくなかったり…? 「評判が、いいんだ、周防は」 「……うん」  だから? 「………可愛いと、評判だ…」 「は!?」 「…から、……見せるなんて言ったら、何されるか……、ってか、相手によっては犯されるぞ、お前」 「っ!?」  ───んなっ……!!  ………なんてこと言うんだよっ、橘~~~っっ!!! 「あーっ、もおっ! 良いヤツだと思ったのに~っ!!」 「悪い奴ならヤラれてるって」 「俺のこと、そんな風に見てたのか!?」 「まあ……、可愛いから目を引いたってのはある」 「なんだよもーっ、橘のえっちー!!」 「人のち○こ視といてどっちが……」 「う~~っ、…それはごめんなさいっ!」 「じゃあ、俺もごめんなさい」  簡単に俺のこと許してくれて、自分もすぐに素直に謝ってくれる。笑いながらだけど……。  こんなの、失礼なやつ! って思っても、許さないわけにはいかないじゃないか……。 「……いいですよ。許してあげます」  口を尖らせたまま赦免の言葉を吐く。 「ありがとうございます。ついでに、これで機嫌直して」  いいこいいこ、と頭を撫でながら目の前に差し出してくれたのは、長身の橘に似合わない、ピンクの小さな四角い紙パック。  受け取ったそれに首を傾げる。 「……いちごオレ?」 「そう。こう見えて甘党」 「お、おう……。確かに“こう見えて”」 「周防は?」 「………俺も、こう見えて甘党」 「ふっ…、だと思った」 「笑うなぁっ!」

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