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5.穢れ無き理由
いちごオレのパックを有り難く貰って、ストローをちゅーっと吸う。
「……おいしい」
「なんか、唇尖っててヤラしい」
「ヤラしくない!なら、橘も飲んでみろよー」
はい!と目の前に差し出すと、首を伸ばしてストローに唇を付ける。
「ん……、美味 いな」
「橘のがヤラしー。口がなんかヤラしいもん。俺の手から飲んでるしー、えっちー」
「そうか?」
「もーっ、なんで余裕なんだよ!だから非童貞はぁっ!」
橘なら絶対彼女居るだろうし、今居なくても、年上年下同級生、人によっては三十路の既婚者だって誘惑されちゃいそう。
だから、橘は絶対非童貞!と決めつけて責め立てた俺に、
「非童貞、か…」
橘はふ…と息を漏らすように笑いを吐き出した。
「周防はやっぱり、童貞か」
「───っっ!!?」
しくった────!!
完全に余計なこと口走ったあ!!!
「…………ヤダナ、言葉のアヤジャナイカ」
「周防?片言になってる」
……ちくしょう、くすくす笑いしやがって。
「………俺は、いつか出会うたった一人の俺だけのお姫様のために、大切に取っておいてるだけなんだ。決してモテないワケじゃないヨ」
「安心しろ、馬鹿にしないよ。俺も、なんだかんだで童貞だから」
「え…………はっ!?」
「俺も周防と同じ、童貞」
だから俺のことは放っとけ!!
「中学の頃はさ、なんか、まだ年齢的に手ぇ出しちゃマズイだろってのがあるから、彼女とはキス止まりだった」
やっぱりそん頃からカノジョがいたか。
全然俺とおんなじじゃないじゃんか!
俺は、幼稚園の時がモテピーク、あの頃の思い出が最初で最後だ!!
「で、高校上がって、いざ致そうとしたら、」
橘の視線が下がっていくから、自然にそれを追い掛ける。
っ!……まあ。立派な御神木ですこと。
羨ましい限りですわ。
OL涎垂モノ、っての?ヴィトンとかクロエみたいな。
イケメン、超長身に加え、絶対ち○こモテもしてるっつーの!高級ブランドか!!
「ドン引きされた。デカ過ぎて恐いってな。スゲー青褪 めてさ。で、気まずくなって別れた」
……自慢なのかそうじゃないのか、イマイチ分かりかねる。
いや、別に僻んでるとかじゃないぞ。
俺も別にちっちゃいワケじゃないし!
相対的に平均だ。
「同級生じゃ子供だから駄目だったんだろうって、今度は2つ上と付き合ってみたけど、処女だったらしくて結局無理だった」
まあ処女じゃ、初めてがこのサイズって、そりゃ恐くもなるよな。
切れちゃいそうだもん。
「で、なんだかこっちも、どうあっても童貞捨ててやる、って躍起になってさ。遊んでる奴っての紹介してもらったり」
「うげ…。ビョーキうつされそ」
俺の言葉に橘は、はは…と乾いた笑いを漏らす。
「で、そいつに言われたのが、まず“童貞に興味ない”な。それから、“そんなにヤりたきゃ米軍好きな女にヤらせてもらえば?”」
つまり、橘のち○こってば、アメリカ人の軍人サイズって事か!?
おお……
「で、最新で、アメリカ軍人好きだって聞いた大人の女と事に及ぼうとした訳なんだが…」
それでもまだ童貞ってことは、……そういう事なんだろう。
「無理、絶対裂ける、と言われた。その人、アメリカ人漁りに良く横須賀辺りに繰り出してるそうなんだけど、ヤる男ヤる男、何故か皆、極小らしい」
「あ…ああ……、なんか、ご愁傷さま…」
彼女にも、橘にも。
「で、もう女は懲り懲りって思ったのが、先週のこと。因みに、今の時間うちのクラスで教鞭執ってる女教師に会うのが気まずくて、逃げ出してきたっつー。察してくれるか?」
「…………っっ!!」
察すよ…、俺聡い子だもん。察しちゃったよ……。
てかさー、なんでそこまでぶっちゃけちゃうワケ!?
俺、あの先生の授業、もうまともに受けらんないじゃん!!
橘とヤりかけたビッチの極小ホイホイって色目で見ちゃうじゃん~~っ!
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