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10.お祭り騒ぎ

「わあぁ、スゲー俺、初カノ!…ん?カノジョじゃないから、初カレ?」 胸がドキドキ苦しいせいで、冗談でも言ってなきゃ心臓が持たない。 橘もそうだったりするのかな? 「まあ、見た目的にも立場的にも、周防がカノジョかな」 冗談交じりに、頭を撫でられた。 「む……まあ、橘のが背ぇ高いからな。ちょっとだけ」 「“ちょっと”だけ、な」 むー、なに笑ってやがる! 俺、170cmは……ぐらいはあるし、概ね平均で、別にちっちゃいワケじゃない。 橘は、190cmちょい? ………ほら、ほんの20cmぐらいしか変わんない! 「で、脱がしていいの?」 「っ!!」 ナチュラルにそんな事を訊かれて、急激に顔に熱が集まった。 そう言えば、橘はさっきからずっとち○こ丸出しのままだった。 最近その絵が当たり前になってたから、すっかり忘れ去っていた。 「………俺とシたいの?」 「俺とシたくない?」 うっ……、質問に質問で返すのはどうだろう、橘くん…。 「──じゃあ、前戯から始めます。よろしくお願いします」 答えられずにいれば、橘はフッと笑みを零して、顔を近付けてきた。 ───あっ…、キスされる…… 女の子みたいにそんな風に思って、そっと目を閉じる。 結局、俺がカノジョなワケな。 頭の中で悪態でも吐いてなきゃ、顔が沸騰しちゃいそうで……。 緊張で息も苦しい。まだ口を塞がれてもいないくせに、既に絶え絶えだ、ダメだ死ぬ! 唇に柔らかいものが当たる感触がして、ちゅっ、と音を立てて離れていった。 初チューだ、初チュー! 橘、意外と唇柔らかい! んで、すごいやさしい!! 人生初のキスに頭の中はお祭り騒ぎだ。 顔にも出ちゃってるかもしんない! あっ、違う! 幼稚園で初恋の子にほっぺにチューされたことあるから、初チューじゃない。 これで2回目だ。

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