初めての口へのキスは案外あっさりしてて、脱がしたいだの前戯だのと言ったワリに…… なんて思ったのは一瞬のことで。 「たちば──んッ…!?っ……んん…、んぅ……ふ、んんっ…」 気付けばその胸に抱き寄せられて、口内を貪られていた。 開いた唇からいきなり舌を差し込まれて、ぬるりとアゴ裏をなぞられた。 そんなところ自分の舌でしか舐めたことなくて、なのに自分の物より肉厚な舌で擽られて…… 初めての感触に、背筋にゾクゾクってしたものが走る。 自分の舌はどうしたらいいんだろう。 邪魔にならない方がいいかな？ ふわふわってなってきた頭の片隅でそんなことを考えて、奥へ潜らせようとすれば、逃すまいと熱い舌を絡められた。 「ん、んぅッ…」 ぢゅっ、と強く吸われて、俺よりも大きい口の中へと導かれる。 やられたのを真似るように、歯列をチロチロとなぞっていくと、橘は気持ち良さそうに息を漏らした。 橘…、俺のキスで気持ちよくなってくれてる…？ 調子に乗ってちゅーって舌を吸ったり、擽ったりを繰り返す。 やんわりとした刺激を愉しんでると、そのうち焦れたように舌を絡めとられた。 「んっ、…ン……」 橘に主導権が移れば、俺はもう翻弄されることしか出来なくて。 制服のシャツにしがみついて与えられる気持ちよさを全部受け入れていると、そのうちお腹の辺りに熱が集まってく。 うずうずして、もどかしくて…… 瞼を上げて「触って」と目で訴えれば、橘の手が布越しにソコを優しく撫でてくれた。 自分からも腰を浮かして、手に擦り付ける。 「ん…っ……んっ」 ……どうしよ、きもちいい… 触れられる感触も、かき混ぜられる口内も…… 息苦しいけど、きもちよくて、気が…遠くなってく─── ふわっと体の力が抜けて、 一瞬、意識が遠のいた……