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内気な彼が僕のところにやって来て、読書発表会の本を一緒に探すと言ってくれた。市の図書館にまでついてきてくれた。想像どおり趣味の話になると饒舌になった。ロリコンなのは違ったようだけど。意外にも素直で喜怒哀楽がわかりやすい。ロリコンと言うとかなりの勢いで否定された。驚いたのが彼の笑った顔。好きな本の話をする時すごく楽しそうな表情を見せた。心を許してくれているかのような、そんな笑顔だった。
そして……
『いつも1人でやらされるのが嫌だった。だから日比谷には1人で背負って欲しくなくて……』
「己の欲せざる所、人に施すことなかれ」といったところか。僕は今まで人の分をやることに慣れていたし、むしろ1人で好き勝手に自由にしていた。俗に言うパシリでも。いつしか苦に感じなくなっていた。しかし今日の彼の言葉が離れない。胸に温かいものが広がる。これが、優しさというやつかもしれない。彼がなぜ僕にそれを向けているのか。
「やっぱりわからない……」
理屈好きな僕がいくら考えても、川下の行動や言葉が僕にはわからなかった。ただ彼の笑顔が頭に焼き付いていた。
***一葉 side 終***
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