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打ち合わせ

* 週明けの月曜日。これから本格的に発表用の資料を作らなきゃいけない。日比谷に相談しないと……と思っていたところ、まさかの日比谷に声をかけられた。 「君、今日の放課後時間はあるかい?」 「あっ、ある!」 思わずでかい声を出してしまった。俺ははしゃぐガキか。嬉しくてついにやけてしまった。日比谷から話しかけてもらえて俺は浮かれ気分だった。 「例の読書発表会のことで打ち合わせをしたくてね」 考えていることも同じみたいだ。以心伝心と思うと喜びを隠し切れない自分がいた。 放課後、彼から指定されたのは空き教室だった。クラスはたまにリア充達の溜まり場になっているし、日比谷と2人きりになれる空き教室は俺にとって最高の場所だ。急いで教室から出たはずなのに、日比谷はもう目的地にたどり着いていた。誰もいない教室に1人佇む姿が、カーテンの隙間から差し込む光に包まれていてつい息を飲んだ。眼鏡の奥の瞳が俺を捉えている。なんて綺麗なやつなんだ。すぐ近くにいるのに遠いような、触れられないような気がした。 「ごめん、遅くなった」 「いやいや、僕も今来たところだ」 あれ、このやり取りこの前もやったよな。逆のパターンで。付き合ってもないけどもどかしい関係にむず痒い感じがする。とりあえず俺達はその辺の椅子に座った。 「それで、一応これは全部読んだよ」 俺は鞄の中から先日の本を出した。『本当に叶う♡おまじない集』というタイトルを見るだけで吹きそうになる。とりあえず土日で読み終わったけど、母親に見つかったらどうしようかと思ったよ。 「もう読み終わったのか、早いね」 「さらっとだけどな」 「感想は?」 「えっ!?感想……まあ、ロリが好きそうなやつだな、と。あと、確かに字がつらつらと書いてあるより漫画で紹介されている方が頭に入りやすいと思った」 唐突に感想を求められ、そう回答した。この本にはかなりのおまじないが掲載されていて、世の中にはこんなにおまじないというものが存在するのかと感じた。そりゃあ世の女子達が夢中になるわな。 「なるほど、やはり君にはこういう可愛い系のイラストがある方が読みやすいんだね」 「いや可愛い系とは一言も言ってねぇよ……」 こいついつまでロリコンネタを引きずってるんだ。意外とSなのか、それとも本気で俺をロリコンだと思っているのか。

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