32 / 122

全てを包み込んでくれそうな優しい笑み。なんでそんな顔するんだよ、ずるい。吸い込まれそうな瞳が俺を見つめる。全部日比谷に持って行かれそうなくらいだ。 「ありがとう」 精一杯のお礼を言った。もうこれ以上の言葉が出てこない。胸が詰まるって、こんな感覚なのかもしれない。2人きりの空間と静寂が心地いいのに恥ずかしくて、俺は懸命にスマホを操作していた。

ともだちにシェアしよう!