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読書発表会当日
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ついに読書発表会の日がやってきた。俺達の出番は最後の方だった。他のやつらが紹介していたのは、有名な映画の本や最近流行っているドラマの原作など。正直俺は緊張しすぎてあまり頭に入ってこない。最初の方の発表だったらここまで緊張しなかったのかな……と落ち着かないでいた。
そしていよいよ俺達の番がやってきた。担任が2人の名前を呼び、俺は腰を上げた。
「来たぜ、陰キャ2人組の発表」
「しーっ、聞こえるだろっ」
周りがまた陰口を叩いている。イラッとはしたが構ってられない。気にしないふりをして俺は教壇に立った。すでに前にいた日比谷と目が合う。日比谷は唇の端を少しだけ上げた。こんな時にその表情はずるいだろ……!俺もぎこちなく笑い返した。言葉は交わさずともそれだけで満たされた自分がいた。
一応手に原稿用紙を用意した。人前で話すのは苦手だし、セリフを覚えられない。日比谷は「僕は必要ないね。アドリブでいくらでも言えるさ」とのこと。流石、口は達者だからな。
軽く深呼吸をした後、俺は唇を動かした。
「えっと、これから僕達の発表を始めたいと思います」
やばい、めちゃくちゃ声震えてる。周りの視線が集中しているのが怖い。汗をかいた手で原稿を握りしめ、必死に続きを読み上げた。
「えー、今回僕達が紹介する本は……」
と俺が喋っている途中に雑音が混じってきた。
「マジかよー?俺知らなかったわー!」
「でさ、その後家に帰ったらさー……」
「ハハハっ!お前バカだなー!」
「お前にだけは言われたくねぇよ!」
クラスのアホっぽいやつらが騒いでいる。うるせぇな、こっちが喋りにくいだろ、お前らのでかい声のせいで俺のがかき消される。声小さいから余計にな。
「おい、うるさいぞ!静かにしろ!」
担任が注意をしたが効果はない。こいつらは授業中もよくうるさい。埒が明かないのでこのまま発表を続けようとした時。
隣にいた日比谷がつかつかと歩き始めた。そしてそいつらの前で立ち止まった。突然のことにやつらも話を中断して驚いた顔をしている。
「なん、だよ……?」
「君達、仲がいいのは結構だが少々声が大きいようだね」
不良どもは怪訝な顔をしているが、言葉になっていない。そりゃあそうだ、完全にお前らが悪いからな。
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