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なんかほっとした。ずっと不安だったからそこは安心した。てかこいつ彼女持ちなのか。そりゃイケメンでスポーツ万能だからいてもおかしくない。今日は感情がせわしないな、俺。
「なあ、ひびやんとはいつから仲良くなったんだ?」
「えっと、この前の読書発表会でペアになって……よく話すようになったのはそこからかな」
「へぇー、やっぱりそうか。前の発表の時も息ぴったりだったもんな!」
満面の笑みでそう言う斎藤。なんだか恥ずかしくなってきた。しかも男同士でこんな話……。トイレで一体なんの話をしてるんだ俺達は。
「2人が楽しそうにしてるの見てたら、こっちまで嬉しくなって。ひびやんも一匹狼なところあるけど、2人でいるとすごく穏やかな表情でさ。思わず応援したいって思ったんだ」
ふわっと優しい笑顔で斎藤は言った。そんなこと言われると照れくさいけどどこか温かい。男を好きなのって変なのかなって思ってたから、斎藤が認めてくれたのが嬉しかった。
それからどういう訳か、斎藤に促されて連絡先を交換することになった。どんな人とでも対等に話せるんだな、こいつ。生まれ持った才能なんだろう。斎藤はそろそろ監督に怒られるからとのことで、トイレから退散することになった。どうやらサッカー部のキャプテンをしているという。
「じゃあまた連絡するから!またな、かわしー!」
「かわしー!?!?」
それが俺のあだ名らしい。初めて言われたぞ。でもまあ、悪いやつではなさそうだ。颯爽と去っていった彼の笑顔が頭に残り、なぜか自然と笑みがこぼれた。
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