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1件のメッセージ(一葉 side)

***一葉 side*** 外から虫の声が聞こえる。日中は冷房が必須だが、夜は網戸だけでもそこまで暑さを感じない。それに夏の夜は風情を感じる。そこに哲学書があれば最高だ。先日1000ページもの本をようやく読み終わり、今日から新しい書物に切り替わった。この本は僕にどんな世界を見せてくれるのだろう。そう思っていると、スマホのメッセージ音が鳴った。 机の上のスマホを触る。送り主は斎藤だった。斎藤文哉。僕のクラスメイトかつ中学の同級生だ。久しぶりに彼から連絡が来た。なんの用事だろう、また宿題の答えを見せてくれとかそういうものか。メッセージに目を通してみる。 『ひびやん、お疲れさん! あのさ、急で悪いんだけど、クラスにかわしー(川下)っているじゃん?最近そいつと喋る機会があって、結構面白いなって思ったんだよな。1回遊びたいって思ってるんだけど、かわしーって控えめだからいきなり2人きりだと気を使わせちゃうかなって……。 それで、ひびやんも一緒に今度3人でどっかに行かないかな?ひびやん、たまにかわしーと喋ってるからよく知ってるかなって思って!』 長文メッセージが僕の元に届いた。突然なんだこれは。何か企んでるんだろうか。確かに僕は川下とよく話す。かわしーという呼び方といい、斎藤、まさか川下に想いを寄せている……?いやそれはない。彼はサッカー部のマネージャーと付き合っている。となると、川下に個人的な興味でもあるのか。とりあえず、返信をする。 『えらい急な要望だな。川下とは確かに話す仲だけど、僕が一緒でいいのかい?邪魔にならないか?』 送ってすぐに既読がつく。斎藤は友人に囲まれているから暇じゃないはずなのに。これは何か考えがあるんだろうな。 『えー、むしろ一緒に来て欲しい!ひびやんが嫌じゃなければ!かわしーだってひびやんがいた方が安心するだろうし!』 『僕は全然構わないよ。川下には伝えてるのかい?』 『さっき連絡した!かわしーも行くって言ってるよ!』 なるほど、川下も賛成したのか。本当にフレンドリーなやつだ、斎藤は。 『わかった。僕は土日ならいつでも空いてるよ。』 『ひびやん、ありがとー!俺今週の土曜日は部活があるから、日曜日はどう?』 『大丈夫だよ。川下の都合が合えば』 『オッケー!たぶん大丈夫なはず!ちょっと調整するわ!』

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