73 / 122
*
明るくて賑やかな斎藤が、今日はずっと聞き手に回っている。本当にいいやつだな。部活も忙しいだろうに、こんな遅い時間に電話をしてくれた。彼女にとっても斎藤は自慢の恋人なんだろう。
「聞いてくれてありがとう、斎藤」
『こちらこそ、結局何もできなかったけど……』
「ううん、おかげで少し気が楽になったよ」
『よかった。ただ、これだけは覚えておいて?ひびやんはかわしーのこと嫌ってないし、信頼してるってこと』
斎藤の言葉が胸に入り込んでくる。じんわりと温かくなり、優しい気持ちになれた。もちろん、日比谷の過去は気になる。けど、言わなくたって俺の気持ちは変わらない。これで前を向いて歩けそうだ。
「そっか。ありがとう」
日比谷、あの時はごめんな。またこれからも、たくさん話そうぜ。
ともだちにシェアしよう!