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そう言って斎藤は笑った。彼らしいポジティブな考え方。それもそうかもしれない。
高校について考えていると、斎藤がある発案をした。
「じゃあ、ひびやんも俺と同じ高校においでよ!」
僕は固まった。斎藤と同じ高校……?考えてもみなかった。
「ここからは通うのは遠いし、進学校でもないけどさ……ひびやん頭いいからどこでも行けるだろうし、新しい場所で新しい空気を吸ったら、何か見つかるかもしれないし!」
弾んだ明るい声色が僕の胸に飛び込んでくる。今後のことなど知らなかった。自分に未来があることも……。でも、彼と同じ場所なら悪い気はしない。僕の中で揺らいでいる。
斎藤はどこまでお人好しなんだろう。僕のことなんて構わなくていいのに。しょっちゅう会いに来てくれるし、高校まで誘ってくれる。気持ちは嬉しいのに、どこか申し訳なく感じていた。
「斎藤、言っておくけど、仮に僕が同じ高校に入学したとしても気を使わなくていいから」
「えっ……」
「今もこうやって僕を気にかけてくれている。“あの時のこと”を気にしているんだろう?」
僕の言葉に斎藤は黙った。強く言いすぎてしまった。でも、斎藤にはたくさんの友人がいる。僕を気にするあまり、他の友人との時間を奪いたくない。こうしてたまに話しかけてもらうだけで、僕は嬉しいから……。
しばらくの間彼は口を閉ざしていた。彼は僕の傷に触れないようにしていたのだろう。
やがて、彼は胸の内を語ってくれた。彼の本当の性格や過去、そして思いを……。
***一葉 side 終***
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