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文哉の過去・小学校時代(文哉 side)
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「みんな!サッカーしに行こうぜ!」
小学校の頃から俺はサッカーが大好きだった。純粋にサッカーが好きってのもあるけど、男女関係なくみんなでやることで仲良くなれるのが嬉しかったんだ。
「文哉、ちょっと待って!宿題終わったら行くから!」
「えー、早く来ないとサッカー始めちゃうぞ?」
「もうすぐ終わるから待ってってば〜」
学校でみんなと話すことが好きだった。当時の俺は目立つことも人前に立つことも躊躇わなかった。「みんな、俺についてきて!」っていうタイプだった。
クラス内でもよく学級委員をしていた。勉強は全然だめだけど、授業中の挙手と体育だけは頑張ってたかな。
「1時からサッカー始めるから、それまでには来てくれよな!」
「もう、焦らすなよー」
風邪もめったに引かないし、休み時間はボールを抱えて走り回っていた。とにかく元気なことが自慢だった。
小学6年生になったある日の昼休み。いつものようにサッカーをしようと思っていたけど、俺には気になっていることがあった。俺のクラスにはいつも1人でぽつんとしている男子がいた。休み時間も誰かと話しているのを見たことがない。俺は思い切ってその子に声をかけてみた。
「よっ!何やってるの?」
すると彼は体をビクッとさせて驚いていた。咄嗟に手でノートを隠していた。
「それ何?見せてよ!」
俺がそう言うと、彼は恐る恐るノートを見せてくれた。可愛い女の子のイラストがたくさん描かれていた。
「えっ、すげぇ上手いじゃん!漫画家レベルで!すごいなー、俺全然絵心ないからさー」
「あ、ありがとう……」
ようやく彼は小さな声を発した。どうやら絵を描いていたみたいだ。ただ、いつもどこか寂しそうに見えた。
「あのさ、もしよければなんだけど、一緒にサッカーしない?俺、昼休みいつも外でサッカーしてるんだ。たまに違うスポーツもやってるけど」
俺が誘ってみると、彼は少し戸惑った顔をした。そりゃそうだよな、急に言われても。でも、ずっと1人で席に座っている彼を、俺は放っておけなかった。
「いつでもいいから、行きたい時は俺に言って!」
「……本当にいいの?」
「もちろん!人数は多い方が楽しいしな!」
「僕、運動全然できないけど……」
「関係ないない!ただの遊びだし!」
彼は少し黙った後、俯きながら小声で呟いた。
「……僕も行きたい」
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