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やっぱり行きたかったんだな。もっと早く声をかければよかった。
「よし!じゃあ今から行こうぜ!」
彼の腕を引き、俺達は教室を出た。こうして彼はよくサッカーをしに来てくれるようになった。
数日後、その子が廊下でいじめられているのを見てしまった。複数人のクラスメイト達に蹴られたり叩かれたりしている。
「おい、何やってるんだよ!やめろよ!」
俺は慌てて彼を庇った。なんでこんな酷いことをするのか理解できず、俺は怒りをあらわにしていた。
「だって、俺達が頼んだこと、こいつがやってなかったんだもん」
「昨日約束したのに、破りやがったんだ!」
男子共は口々にそう言う。話が全然頭に入ってこない。
「何があったのかわかんないけど、暴力はだめだろ!せめてちゃんと話し合えよ!」
俺が叱りつけると、彼らはバツが悪い顔をして去っていった。
「大丈夫か?怪我は?」
痛そうに膝を抱える男子に声をかけた。若干傷がある。俺はその子を保健室に連れて行くことにした。
「立てる?」
「うん、ありがとう……」
よろよろとする彼を俺は支えた。今にも泣きそうな顔をしている。
「一体何があったんだ?」
「……僕が、あの人達の宿題を終わらせてなかったから……」
「はぁ?宿題?そんなん自分でやれよ!」
怒りが込み上げてくる。確かに俺もバカだからよく人の宿題を写したりしてる。でも人にやらせたり、やってないから暴力をするなんておかしいに決まっている。
俺はこの件について担任の先生に相談した。先生がクラスメイトを注意したらしく、それ以来彼が暴力を受けているところは見なくなった。
それから少し経った。6年生の中から生徒会長の立候補者を募集していると聞き、俺はやってみようと思った。生徒会長になることは俺の憧れだったんだ。俺はすかさず立候補した。
他にも何人かの生徒が立候補していた。絶対当選したい。その思いで俺はやたらアピールしていた。
「みんな、俺に清き一票を!」
「わかってるよ、みんな文哉に入れるからさ!」
「文哉くん、頑張って!」
「応援してるよ!」
クラスのみんながそう言ってくれた。俺はみんなに挨拶したり話しかけたりして、生徒会長になれるように努めていた。
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