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「死んでは困るよ。これから飽きるくらい僕の話を聞いて、ずっと傍にいてもらわないといけないのだから」 2人は笑い合った。目の前にいる日比谷一葉は、本当の純粋な少年なんだ。 余韻に浸っていると、日比谷がズボンのポケットから何かを取り出した。 「今だから言えるんだけどね……」 少し恥ずかしそうにその紙を見せた。それを見て俺は息が止まるかと思った。 そこには……なんと、ハートマークで囲まれた……俺と日比谷の名前が書いてあったのだ。 「こ、これは…………」 「気持ち悪いだろう?僕はここまでして、君を求めていたんだよ」 気持ち悪いわけ、ないじゃないか……。だって……俺だって……。 急いで自分のポケットを探る。くしゃくしゃになって出てきたあの“おまじない”。2人で発表したもの。 「俺も、同じことしてた……」 日比谷の達筆な字と、俺の汚い字。それでも中身は同じおまじない。男同士、らしくないことをしていた。 「これは、驚いたなぁ……」 「ホントにな。でも、2人とも効果があったってことだな」 「そうだね。頑張りのおかげかな」 照れくさくって2人で笑った。まさか同じおまじないをかけていたなんて、想像もしていなかった。日比谷がそこまでして俺を想ってくれていたこと、それがどうしようもなく幸せだった。 日比谷は自分の手を差し出し、俺に問いかけた。 「志津、僕の指に触れて?」 心臓がものすごいスピードで鼓動を刻む。白くて細長い指。陶器のようで、でも温かそうな……。 「ちょっ、ちょっと待て……!」 「だめ?」 「いやだめとかじゃなくて!一度で二度びっくりなんだけど!?」 初めて俺の下の名前で呼ばれた。それだけでドキドキするのに、まさかの指に触れて欲しいだなんて……!しかも「だめ?」って首を傾げて可愛くおねだりするな!可愛すぎるんだよっ、全く……。 「でも、体に触れられるの嫌だろ?気持ち悪いだろ?」 「ううん。志津になら、いい……」 お前なぁ!両想いになった途端可愛くなりすぎなんだよ……。頬を赤く染めて色っぽい表情をする日比谷。可愛いくて上品だった。 恐る恐る俺も手を伸ばす。本当は頭を撫でたり抱きしめたり、手を握ったりしたい。けど、日比谷の過去を思うとまだまだ先の話だ。

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