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After Story(文哉 side)
夏休み真っ只中。俺は部活を引退したことだし、これからは遊び放題……とはいかず、補習のオンパレードだった。午前中だけとはいえ勉強は苦手だ。
「ひびやーん、勉強教えてよ〜」
「と言いながら、君は毎回ノートを写してばかりじゃないか」
「そんなこと言わないでさ〜」
午後の教室。俺はひびやんとかわしーの3人で夏休みの宿題をしていた。ひびやんは学校の成績は普通くらいだけど、それは勉強をしてないから。地頭はめちゃくちゃ良くて、たぶん本気出せば学年1位のはずだ。
「かわしー、ひびやんがノート見せてくれないんだけど!」
「ノート見せて……って、それ写す気満々じゃないか」
「かっ、かわしーまでひどい!」
大人しくノートに計算式を書きながら、鋭いツッコミを入れるかわしー。彼はあまり自分の成績を教えてくれない……けど、悪くない方だと思う。少なくとも下から数えた方が早い俺よりは……。
「斎藤。部活も引退したことだし、多少は勉強時間も確保できるんじゃないかい?」
「そんな真面目なこと言われると反論できないじゃん……って、サンキュ!」
正論を言いつつもようやくノートを見せてくれたひびやん。やっぱり最高の友達だぜ!
「あっ、日比谷、また甘やかしただろ」
「このままだと家に帰ってから『写メを送れ』と何度も連絡が来そうな気がしてね……」
「2人ともひどいな!」
うわっ、こいつら2人して俺をバカにしてる。いいよな、勉強できるやつらは。
「そういえば川下、先日のあの小説なんだけど、もう15巻まで読めたんだ」
「お前本当に読むの速いよな。追加でまた貸そうか?」
「うん。また明日持ってきてくれると嬉しい」
「わかった。じゃあ、明日何冊か持って行くな」
2人は俺をおいて何かの小説の話をしている。会話内容はいつもどおりだけど、表情が前までと違う。かわしーもひびやんも幸せそうな顔をしている。なんだか俺まで嬉しくなった。
「へぇー。お2人さん、イチャイチャしてお熱いですねぇ」
「バッ!別にイチャイチャなんて……!」
俺が茶化すとすぐに顔を赤くしたかわしー。彼はいつもわかりやすい。ところが、今まで表情がわかりづらかったひびやんが、今日は若干顔を逸らしている。頬がやや赤く染まり、まだ昼間なのに夕焼け色になっている。
「ふっ、はははっ!」
「何がおかしいんだよっ!」
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