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After Story(志津 side)

夢のような毎日。大好きな一葉と恋人になれた。少しでも長く一緒にいたくて、補習帰りに家にも呼んだ。 俺は初めて見る一葉の姿にドキドキしている。会うたびに新たな表情を見せてくれるから、もっと一葉を知りたいって欲張りになってしまう。 今、俺のすぐ横で一葉が手を伸ばしている。「僕の指、触って欲しい」って。初めて一葉の家に招待されて、ケーキを一緒に食べて……。こいつはいつも、急に「触って」と言い出す。顔を赤くさせて。 一葉の過去を知っているから、俺は彼を傷つけないように自分からは触れない。でも、だんだんと「触って欲しい」と言われるようになった。もちろんすごく嬉しい。例え指1本だけでも温かくて幸せを感じる。けど、そんなに可愛いことを言われると、もっと一葉に触れたくなる。抱きしめたいし、頭を撫でたい。思わず手を繋ぎたくなるけど、俺はそれをぐっと堪えていた。 小指を絡めていると、さらに「もっと」と言われた。バカっ、それ以上ねだられると、俺我慢できねぇよ……。襲いかかる衝動をなんとか抑えながら、俺はゆっくりと手のひらを重ねた。柔らかくて熱い感触が伝わる。 「あっ……!」 「わっ!悪いっ!」 一葉の体が動き、俺は慌ててその手を離した。なんて色っぽい声出すんだよ……。もっと先に進みたくなるのに、一葉はやはりまだ受け付けなさそうな様子だった。 「や、やっぱまだ怖いよな、ごめんな」 そう言ったが、反応がない。怖がらせてしまったかな……。触りたいのに触れない。俺の中で悶々としていた。 気持ちを改めて、何か楽しい話題でもしよう。そう思っていると、一葉が眼鏡を外した。考えている間もなく、次の瞬間。 唇に、柔らかなものが触れた。指よりも手よりも柔らかく、熱いもの……。頭が真っ白になる。何が起きているのかわからない。2人の時間が止まった。 それから、そっと何かが遠ざかっていく。それでもまだ感触と温もりが残っている。甘い余韻に浸りそうになる。 目の前には、顔を真っ赤にさせた一葉。手で口元を押さえている。俺も指で唇に触れてみる。ああ、これはきっと…………。 「かっ、一葉…………」 潤んだ瞳で俺を見つめる一葉。なんてやつだ……反則にも程がある……! 俺はまさかの、一葉とキスをした。しかも一葉から。嬉しさももちろんあるけど、衝撃が強すぎて言葉を失っている。

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