2 / 47

2.馬鹿な親友2

突然相馬が何か思い付いたように声をあげるから、思わず顔が強張る。 4年以上の時を共に過ごしている俺の経験上、こいつの思い付きには、ロクなものがない。 「角谷、俺いいこと思い付いた!」 「……なに?」 「男と付き合えばいいんだ!」 ほら来た! オツムも相当ゆるいけど、こいつの貞操観念のゆるさには、時々ほんっと友達やめようかと思うぐらい、腹が立つ。 「男だったらハナから穴ひとつっきゃ無いし、引かれたりしないで済むだろ。 ヤバい、俺天才かもしんない。自分の頭脳が怖いわ」 俺も、お前の頭脳が怖いわ!! 「……なら、野球部の林とかいいんじゃねーの?あいつ、相馬のことカッコいいって言ってたし」 わざとゴリマッチョ系のクラスメイトを勧める。 絶対、こいつの思い通りにしちゃなんない。 「……林だと、なんかこっちの穴が奪われそー」 「そりゃそうだろ。男相手なんだから、襲った後の逆転も有り得んだぞ」 「えーっ、やだよー。そーだ。もっと華奢で可愛い系選べば逆転されないじゃん」 「そんなのうちの学校に居っこないだろーが。運動系力入れてんだから、マッチョばっかだろ。ゴリじゃなくても隠れマッチョ」 「そんなことない!探せばどっか…に………あっ!」 また、何かロクでもないことを思いついたようで、相馬は大きく声を上げた。 そろそろ、置いて帰りたい。 昼休み、まだ予鈴鳴んないのかな。 「角谷!」 正面から、両肩を掴まれた。 「なに…?」 何を思いつきやがった…。 馬鹿なのは知ってる。 ド馬鹿なのは分かってるから、斜め上を行くとんでもないこと言うのだけは、勘弁してくれよ。 「角谷、ヤラせて」 「…………はぁっ!?」 思いっきし斜め上いきやがった!! 「俺と比べたら背も低いし華奢だし、顔キレイだし、お前なら俺、イケそうな気がする!」 「っ…なに言ってやがる!フザけんなよ!俺は、中学ん時からお前のことが好きなんだよ! それに対して、イケそうな気がするってどういう了見だよ!!」

ともだちにシェアしよう!