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2.馬鹿な親友2
突然相馬が何か思い付いたように声をあげるから、思わず顔が強張る。
4年以上の時を共に過ごしている俺の経験上、こいつの思い付きには、ロクなものがない。
「角谷、俺いいこと思い付いた!」
「……なに?」
「男と付き合えばいいんだ!」
ほら来た!
オツムも相当ゆるいけど、こいつの貞操観念のゆるさには、時々ほんっと友達やめようかと思うぐらい、腹が立つ。
「男だったらハナから穴ひとつっきゃ無いし、引かれたりしないで済むだろ。
ヤバい、俺天才かもしんない。自分の頭脳が怖いわ」
俺も、お前の頭脳が怖いわ!!
「……なら、野球部の林とかいいんじゃねーの?あいつ、相馬のことカッコいいって言ってたし」
わざとゴリマッチョ系のクラスメイトを勧める。
絶対、こいつの思い通りにしちゃなんない。
「……林だと、なんかこっちの穴が奪われそー」
「そりゃそうだろ。男相手なんだから、襲った後の逆転も有り得んだぞ」
「えーっ、やだよー。そーだ。もっと華奢で可愛い系選べば逆転されないじゃん」
「そんなのうちの学校に居っこないだろーが。運動系力入れてんだから、マッチョばっかだろ。ゴリじゃなくても隠れマッチョ」
「そんなことない!探せばどっか…に………あっ!」
また、何かロクでもないことを思いついたようで、相馬は大きく声を上げた。
そろそろ、置いて帰りたい。
昼休み、まだ予鈴鳴んないのかな。
「角谷!」
正面から、両肩を掴まれた。
「なに…?」
何を思いつきやがった…。
馬鹿なのは知ってる。
ド馬鹿なのは分かってるから、斜め上を行くとんでもないこと言うのだけは、勘弁してくれよ。
「角谷、ヤラせて」
「…………はぁっ!?」
思いっきし斜め上いきやがった!!
「俺と比べたら背も低いし華奢だし、顔キレイだし、お前なら俺、イケそうな気がする!」
「っ…なに言ってやがる!フザけんなよ!俺は、中学ん時からお前のことが好きなんだよ!
それに対して、イケそうな気がするってどういう了見だよ!!」
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