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4.馬鹿な親友4
「ぜってぇ、お前とは付き合わねー」
つま先を見つめながら、ぽつりと吐き出す。
「なんで…?俺のこと、好きなんだろ?」
「あのなあ、……お前の兄ちゃんだって、相手は恋人だけなんだろ?男が好きってわけじゃないんだろ?」
今は良く知らないけど、確か俺たちが中学生だった頃、相馬の兄ちゃんは良く家に女子を連れ込んでたような気がする。
普通に、女の子と付き合ってた記憶がある。
「うん。だから、俺たちも付き合ったらヤれんだろ?」
「っ!……………」
こいつのこういう、ゆるい馬鹿なとこは嫌いだ。
「男の体ってのは、女よりも硬いんだぞ。女の体が気持ちいいのは、柔らかいからだろ?」
「ああ、うん、女の子って柔らかくてあったかいよね」
そこまでは聞いてねぇ。
「お前の兄ちゃんが気持ちいいってのは、その恋人のこと、愛…してるから、だろーがっ」
「愛してる……うん…」
繰り返すなっ、恥ずかしい……。
「だからさ、ヤれる気がするぐらいの男同士じゃ、気持ちよくなんないと思う。お前はそれで良くても、俺はやだ…」
「角谷…」
「っ…こっち見んな!俺だってこんなこと言ってんの、恥ずかしいんだからな……」
相馬はもう一度、角谷、と俺の名前を呼んだ。
肩に手を乗せられて、見上げる。
「わかったよ。角谷、ごめんな」
「……うん、もういいよ」
わかってくれたなら、それでいい。
今まで通り、親友でいられるだけで、俺は満足だから。
「俺、お前のこと愛せるよう、頑張るから!」
「うん。………………って、
はぁぁ───っ!?」
「だからちゃんと、愛のあるエッチしような」
「………こんのっ、馬鹿頭───っ!!!」
あごに手を添えられて、キスされそうになって、最大級の力を込めて頭を叩き落とした。
なんも分かってない。この男、なんも理解してない!!
相馬は頭を抱えて地面にうずくまる。
馬鹿かっ!頭を抱えたいのはこっちだっつーの!!
この馬鹿に、俺は…一体、これからどうやって、教えてやればいいんだろう………。
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