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7.相馬がモテる理由3
放された手がやけに淋しく感じるなんて……、正気か?角谷 睦月 。
声を掛けたクラスメイトが、相馬に対して廊下を指さして見せる。
「お前にお客」
「誰?」
「C組の山本さん」
「あー、はいはい。巨乳の愛奈ちゃんね」
「そうそう、なんでお前ばっか、なぁ?」
同意を求められたから、苦笑で応じる。
その巨乳の愛奈ちゃんが、次の相馬の彼女か。
フリーの相馬は、告白されれば絶対断らないことで有名だ。二股は掛けないけれど、切れたらすぐ次へ移ることができる。
本気で誰かを好きになったことなんて、ないんだろう。
相手の女たちもきっと、付き合えたら自慢になるぐらいの気持ちで……。そんな軽さで、相馬に好きだと告げる。
だから、尻に挿れさせろって言ったぐらいで、フラれることになるんだよ。
俺の胸に秘めた想いは、伝えられようもないのに、女だってだけで、いとも簡単に相馬を手に入れ、いとも簡単に相馬を突き放す。
女っつーのは、……ズリぃなぁ…。
廊下と真逆の窓の外をボーっと見ながら、俺はパックのウーロン茶をズズーッと飲み干した。
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